岩渕健輔、ラグビーW杯と東京五輪のためにBACK NUMBER
「負けられない戦いで、確実に勝つ!」
岩渕GMが語る、W杯ベスト8への道。
text by
岩渕健輔Kensuke Iwabuchi
photograph byGetty Images
posted2015/09/30 11:00
日本、アメリカを破ったスコットランドは、グループBトップとなっている(9月27日現在)。
すべての言い訳を除外してこその戦い。
ならばディテールの差=プレーの精度や判断の正確さの違いは、どこから生まれてしまったのでしょうか?
メディアでは、南アフリカ、スコットランドという強豪との試合が中3日で連続したことによるコンディションの不良が、要因として挙げられています。
ただし、そこはチームとしても私個人としても、言い訳にはしたくありません。
そもそも試合が中3日で連続することに関しては、以前からわかっていました。また私たちは過酷な戦いを強いられることや、相手がフィジカルだけでなく、コンディションの面においても有利に立つことを踏まえた上で、ハードな練習をこなしてきたからです。
またスコットランド戦に関しては、アマナキ選手の負傷退場が響いたのではないかということもさかんに指摘されていますが、私たちは特定の選手の負傷もエクスキューズの材料にしたくはありません。
たしかにアマナキ選手が南アフリカ戦で残したインパクトは大きいものがありました。スコットランド戦に関しても、ボールを前に運んでいける推進力のある選手が途中で退場した影響が、少なからずあったのは否めないでしょう。
しかし私たちはW杯に向けて、予想外のアクシデントが必ず起きるであろうことを見越して準備を進めてきました。試合においても、すべての選手を、自信を持ってピッチ上に送り出してきたからです。
中3日のスケジュールは回避できなかったのか?
とはいえ、GMという立場でスコットランド戦を振り返るならば、反省すべき材料もなくはありません。『変えることが難しいことを変える』(ベスト新書)という近刊でも述べたように、私はGMに就任して以来、協会のスタッフのサポートを得ながら、かつての日本代表では不可能とされてきた「ティア1(ラグビー界の強豪国)」とのマッチメークを実現させてきましたし、中3日で試合が連続する状況を想定して、強化試合のスケジュールも組んできました。
しかし残念ながら、南アフリカやスコットランドのような、世界トップクラスの相手と中3日で連続してテストマッチを組むことまでは叶わなかったからです。
また、そもそも中3日で試合が行われるという、厳しいスケジュールになってしまうのを防げなかったことも、大きな反省材料として挙げられます。これら二つの要素は、2019年のW杯日本大会に向けて、日本ラグビー界としてクリアーしていかなければならない課題として浮かび上がってきています。