ただ目の前の1試合1試合を勝ち抜くのみ。

　チームに話を戻しましょう。

　巷ではボーナスポイントや勝ち星計算云々ということも言われていますが、私たちは意に介していません。普通に考えれば、たとえばサモアがスコットランドを下す可能性もあることになります。そうなれば今度は日本が有利になったと囁かれるでしょうが、そのようなシナリオにさえ関心はありません。私たちがなすべきは、目の前の1試合1試合に集中していくことだからです。

　まずサモア戦では、南アフリカやスコットランド戦と同様に、フィジカルの強さや選手個々の能力の高さを誇る相手に、いかにして組織として対抗していくかがポイントになります。

　具体的に言えば、相手に力負けしないようにしながら、いかにボールを動かして体力を奪っていくか。受け身にならずに前に出て、タックルで相手をきちんと止めていけるかどうか、そしてセットプレーやブレークダウン（モールやラックといった接触プレー）から、自分たちが得意とする「型」に持ち込み、いかに攻撃的なラグビーを展開していくかが鍵を握ります。むろん細かな戦術の調整等はありますが、自分たちの戦い方が変わるわけではありません。

　これはアメリカ戦も同様です。

　特にアメリカの場合は、0勝3敗の状態で試合に臨んでくることが予想されますし、日本相手にせめて1勝を挙げようと、死に物狂いになってくるでしょう。

　しかし日本にとっても、絶対に負けられない戦いであることは言うまでもありません。私たちはメンタルとフィジカル両面においてチームを最高の状態に持っていき、グループリーグ最後の試合も勝利で締めくくり、決勝トーナメントに必ず駒を進めなければなりません。

日本には、まだ決勝T進出の可能性がある！

　私たちはここまでの戦い方に、強い手応えを感じています。

　もちろん日本代表は、スコットランド戦でも勝利を目指していました。その意味で試合に敗れたのは残念ですし、反省すべき点は多々ありますが、自分たちが積み重ねてきたことが、きちんと発揮できていた時間帯も数多くありました。

　また冷静に振り返るならば、南アフリカとスコットランド戦を1勝1敗のイーブンで乗り切り、決勝トーナメント進出の可能性が十分に残されている位置につけているというのは、非常にポジティブな材料です。その意味においては、大会が終わったわけではありませんし、悲観する理由なども見当たりません。

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