岩渕健輔、ラグビーW杯と東京五輪のためにBACK NUMBER
「負けられない戦いで、確実に勝つ!」
岩渕GMが語る、W杯ベスト8への道。
posted2015/09/30 11:00
text by
岩渕健輔Kensuke Iwabuchi
photograph by
Getty Images
こんにちは。ラグビー日本代表GMの岩渕健輔です。
今回は南アフリカ戦とスコットランド戦を終えた今、私たちがここまでの戦いぶりをいかに評価すべきか、そして来るサモア戦とアメリカ戦に、どんな心構えで臨むべきかについて、皆さんと共に考えていきたいと思います。
ご承知の通り、先日行われたスコットランド戦は、10対45という大差で敗れる形になりました。戦術や個々のプレーに関する細かな敗因の分析については、もちろん私たちも既に行っていますし、メディアでもすでに多くの記事が出ていますが、私自身が最も強く感じたのは、「対戦相手の目線の変化」でした。
先日のコラムで述べたように、南アフリカに勝利を収めたことで、日本に対するライバルチームの見方が一変することは容易に予想できました。与し易い相手としてではなく、徹底的に警戒すべき相手として捉えるようになるからです。それは試合の直後から感じることができました。おそらくスコットランドが、これほど真剣白羽で日本戦に臨んできたケースは、かつてなかったはずです。
丁寧に粘り強く戦っていたスコットランド代表。
このようなレベルの戦いになってくるとプレーのディテール、守備に回った時にタックルで相手を止めることができるかどうか、こちらが攻撃を仕掛けている際に、チャンスを確実に活かせるか否かという差が勝負を分けてきます。
その点でスコットランドの戦い方は、序盤から徹底していました。
22メートルラインの中でペナルティを得た場合には、ゴールキックで着実に点を奪う。逆にピンチの時には、ゴール前で日本にラインを突破されないように粘り強く守り抜くというように、自分たちがやるべきことをしっかりと実行していました。プレーの選択も含めてです。
逆に日本は、相手が仕掛けてくるプレーに対応しきれず、その結果として、自分たちの持ち味も発揮できなくなっていました。攻撃に関して言えば、点を取って試合の流れを引き寄せられる場面があったにもかかわらず、プレーの精度や判断の正確さを欠いたために、チャンスをものにすることができなかったのです。