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ACLで韓国勢を打倒してきたガンバ。
超リッチな広州恒大とどう戦う?
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byGetty Images
posted2015/09/25 16:00
全北現代を破った試合でのキャプテン倉田秋と長谷川健太監督。
Jリーグの成功は「投資」のみが理由なのか?
個人的には「資金力の影響は少ない」と括るにはまだ少し早いという印象もある。
日本の観点からすると、'07年、'08年に優勝した浦和レッズとガンバ大阪には、高い年俸のブラジル人プレーヤーが存在した。日本勢の近年の苦戦の原因として、外国籍選手の質の変化は確実にあがるものだ。
それでも、興味深い指摘であることにはかわりない。こういった時代がこの先に開けてくるかもしれない。何より、日本サッカーの躍進を「お金」と簡単にまとめたがる韓国メディアの視点としては珍しいものでもあった。特に90年代からの日本代表の急成長については、紋切り型のフレーズで「あれは投資の成果」と定義していた。究極的にいえばそうかもしれないが、筆者自身、何度も「そこにはしっかりとした過程や知恵がある」と反論したものだ。そんな韓国から出た意見としても興味深かった。
そしてこの指摘は、今大会での日韓対決全般を振り返り、そして30日の広州恒大vs.ガンバ大阪戦を展望する意味でも考えさせられるものでもあった。
城南FCの戦い方は、Jクラブにも参考になる!
確かに、今大会の韓国からの出場チームのなかには、「いまだアジアでは資金力は絶対的な力ではない」という主張を後押しするようなクラブが現れた。
城南FCだ。2014年国内カップ戦優勝チームとして今大会の出場権を獲得している。
このクラブはクラブ全体の予算約12億円で、ベスト16入りを果たした。ちなみにJリーグ各クラブの2014年度の「人件費」のランキングと比較しても、11位から12位くらいの位置だ。昨年のリーグ戦での順位は12チーム中9位。降格圏との勝ち点差はわずか4ポイントという位置だった。今季はシーズン中盤の上あたりでさまよう状態にある。
城南の戦略には、Jリーグクラブにとってもいくつかの参考になる点がある。
ひとつは、この先Jリーグからも出てくるであろう「スモールクラブのACL出場権獲得時の戦い方」。もうひとつは、これから広州恒大と対戦するガンバ大阪にも参考になる。なぜなら……城南は決勝トーナメント一回戦でこの中国の超リッチクラブと対戦し、ホームで2-1(5月20日)の勝利を挙げたのだ。結局アウェーで0-2と負けてしまい大会を去ったのだが、「城南の選手全員の年俸を足しても、相手のブラジル人選手一人の年俸に及ばない」と紹介されるなかでの初戦の勝利は大きく称えられた。