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エディーHCの情報戦も中3日では……。
サモア戦まで9日間、次のプランは?

posted2015/09/24 11:30

 
エディーHCの情報戦も中3日では……。サモア戦まで9日間、次のプランは?<Number Web> photograph by AFLO

本来ならスタミナの優位が活きるはずの後半だったが、先に足が止まったのは日本だった。

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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 7-12。

 わずかワントライ差で迎えた、ハーフタイムのロッカールーム。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチは選手たちにこう喝を入れた。

「いいプレーが出来ていない。それなのにたった5点差だ。勝てるぞ」

 実際、後半25分に31-10と引き離されるまで、ジャパンにはチャンスがあった。

 2トライ2ゴールの14点差までなら、気持ちの面では十分に戦える。しかし「21」点差以上となると途端に気持ちにひびが入る。まして、南アフリカを倒した4日後なら、なおさらだ。

 対するスコットランドは初戦。新聞紙上で「新鮮そのもの」と評されるほどである。

 やはり、試合開始前からハンディキャップはあった。記者会見、そして選手の話を聞いているうちに浮かび上がってきたのは、「相手に対する情報分析」の時間の違いだ。つまりは、情報戦である。

 スコットランドのバーン・コッター・ヘッドコーチは、

「2カ月半、ジャパンの試合をじっと観察してきた。コミットメント、熱意、素晴らしいものがあった。最良の準備をしたことが、結果にうまく結びついた」

と淡々と語った。

 パシフィック・ネーションズカップ、8月のウォームアップ・マッチ、すべての試合を研究し尽くしていたのだ。

情報戦はエディーHCの得意分野だが……。

 エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチの優れた点は、相手チームの研究において、一歩先んじることだ。しかし、今回ばかりは出し抜くまでには至らなかった。時間が足りなかったのだ。

 スコットランドは、エディー・ジャパンを裸にしていたに等しい。さらには、巨象・南アフリカを日本が倒したことで、集中力を高めたのだった。

 スコットランドが日本戦の研究課題として重視したのは、次のような領域である。

・スクラム戦で先手を取る
・クイックなテンポへの対応
・日本のバックスが展開した時には、インターセプトを狙う

【次ページ】 スクラム、テンポで封じられた持ち味。

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