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北京の青い空は、お値段3800億円!?
ランニング文化はまだまだ発展途上。
text by
金哲彦Tetsuhiko Kin
photograph byTetsuhiko Kin
posted2015/09/14 10:30
公園内のランニング施設の受付。更衣室や荷物預かりなどのサービスがあった。
軍事パレードのために3800億円の損失!?
世界陸上が終わってからの新聞情報でそのわけを知った。中国政府の力が働いていたのだ。
世界陸上だけのためではなく、9月3日に行われた「抗日戦争勝利70周年」を祝う軍事パレードのためだったと知って驚いた。
青空のもとでの軍事パレード、いわゆる「パレードブルー」のために北京周辺にある工場の操業を強制的に停止させ、北京市内に入る車の数も大きく制限したらしい。
世界に誇る軍事パレード映像の背景は「青空」でなくては格好がつかないのだ。
ちなみに、2008年の北京五輪では空気清浄のために雨雲を発生させた。しかも、その方法はロケットの打ち上げ。とにかく、やることが派手である。
後日談だが、香港の新聞「アップルデイリー」が独自に試算したところによると工場の操業停止や北京中心部の営業停止による経済損失が日本円換算で3800億円になるとのこと。日本なら政権がひっくり返るくらいの大問題になっただろう。
高橋尚子さんに教えられた森林公園へ!
それはさておき、頭を悩ませていた大気汚染はクリアできそうだったので、さっそくジョギングに出かけた。
ホテルは、北京オリンピックの時に開発されたナショナルスタジアム「鳥の巣」のすぐそばにある。周囲に広がる巨大なオリンピック公園のなかには、水泳場や体育館、博物館だけでなく、北部には人工の森林公園が併設されている。(マップはこちら)
解説者仲間のQちゃん(高橋尚子さん)が「金さん、森林公園で走ると車もいないし気持ちいいですよ! 私も昨日2時間走ってきました」と教えてくれた。
さすが世界のQちゃん、すでに北京でのランニング事情を把握している。
Qちゃんに勧められたホテルから3キロほど離れた森林公園まで走った。雰囲気的には、立川にある昭和記念公園みたいな感じ。低い木々に囲まれた市民の憩いの場になっていて、小さい子供を連れてファミリーで来園している人も多い。もちろん車は侵入できない。