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武藤嘉紀が早くもホットライン完成!
ブンデス初得点にいたる3つの要素。 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2015/08/31 12:30

武藤嘉紀が早くもホットライン完成!ブンデス初得点にいたる3つの要素。<Number Web> photograph by AFLO

監督、チームメイト、サポーター、そしてメディアの全てから歓待を受けている武藤嘉紀。この2ゴールはそのステップをさらに加速させることだろう。

移籍直後に内田篤人が取った行動を思い出す。

 フォワードを筆頭に、攻撃的なポジションで味方に使われて活きるタイプの選手の場合、もっとも大変なことは、味方に自分の望むタイミングでパスをもらうことだ。

 武藤は、そのための努力をとにかく惜しまない。

 そして、もしも自分が欲しいタイミングでパスが出てこないようだったら、出来るだけ早く、自分の持てるあらゆる手段を駆使して解決に導こうとする。

 思い起こされるのは、シャルケに移籍したばかりの内田篤人の行動だ。

 当時のマガト監督の方針により、内田はドイツに来てからも試合や練習で通訳に助けてもらったことはない。もちろん、移籍した当初は現在のように意思疎通が出来るわけではなかった。それでも、試合は迫ってくる。ディフェンダーとして周囲と連携して守備をするためには、試合の前に確認しておかないといけないことは山のようにある。

 そこで、内田はロッカールームにノートを持ちこんだ。そして、センターバックのヘベデスに具体的なシチュエーションを絵で描いて見せた。その上で、局面ごとにセンターバックとサイドバックのどちらが対応すべきかなどを、確認しあった。移籍初年度から内田が右サイドバックのレギュラーとなり、日本人として初めてCLのベスト4に進出したのは、そうした取り組みとは決して無縁ではないのだ。

武藤とサンペリオが交わしたアイコンタクトの意味。

 ある選手がブンデスリーガのピッチの上で結果を残すために、ドイツ語を十分に話せるかどうかは直接的には関係ない。それは真実だ。だが結果を残すために、やらなければいけないことがあるのも事実だ。

 かつての内田がそうだったように、武藤は自分の前にある課題に気がつくと、すぐに手を打とうとする。もちろんドイツ語の勉強にも取り組んでいるし、それはスペイン人のサンペイロも同じだ。ただ2人とも、現時点ではまだドイツ語でしっかりコミュニケーションをとれるわけではない。ならば、手段が何であろうが、お互いを活かしあうために、そのとき出来ることをやるべきなのだ。

 武藤の初ゴールが生まれたあと、チームメイトが集まって歓喜の輪が出来た。その輪が解けたあと、武藤とサンペリオがお互いの目を見て称えあったのは、そこまでの取り組みが結果に結びついたことを実感したからだろう。

 この試合での活躍を受けて、武藤はドイツの老舗メディアである『キッカー』誌から第3節のベストイレブンと、この試合のマン・オブ・ザ・マッチにも選ばれた。もちろん、他のメディアからも軒並み最高級の評価と賛辞を送られた。

 シーズンが始まってからこれほど短い時間で、武藤は出来る限りのことに手をつけ、結果を残した。シーズンが進めば、連係を深める時間も、チームの戦いを理解する時間もさらに増えていく。それにともない、さらに大きな結果を得られたとしても、決して不思議ではないのだ。

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