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武藤嘉紀が早くもホットライン完成!
ブンデス初得点にいたる3つの要素。 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2015/08/31 12:30

武藤嘉紀が早くもホットライン完成!ブンデス初得点にいたる3つの要素。<Number Web> photograph by AFLO

監督、チームメイト、サポーター、そしてメディアの全てから歓待を受けている武藤嘉紀。この2ゴールはそのステップをさらに加速させることだろう。

武藤のオフサイドに「もっと続けろ!」と指示。

 2つ目は、武藤がしっかりとマインツのサッカーを理解して移籍してきたことだ。

 初ゴールを決める前の週、武藤が公式戦で初先発したボルシアMG戦のハーフタイムでのことだ。前半からたびたびオフサイドをとられていた武藤のもとに、シュミット監督が歩み寄った。

「ヨシ、お前の動きは素晴らしいぞ! もっと、もっと続けるんだ!」

 そしてこの試合の後半には、オフサイドにならずに相手DFラインの裏に上手く飛び出し、武藤は決定機を2回もつかんだ。いずれも決めきることはできなかったが、ハーフタイムのシュミットの言葉に勇気づけられたのは間違いない。

 この試合で武藤は合計5回のオフサイドをとられた。それでも、シュミットは一言も苦言を呈すどころか、むしろ賞賛したのだ。

「私は、オフサイドになるのをいとわないくらい前に、前にと走ってくれる選手が好きだ! 考えてもみてくれ。相手のDFラインにとって、これほど嫌なことはないんだよ。もし、ヨシのようにそういう動きをしてくれる選手がいなければ、敵の4バックはどんどんDFラインを前に上げることが出来てしまう」

 そんな監督の信頼を意気に感じない選手は、鈍感な怠け者だ。だから、武藤はハノーファーとの試合のあとに顔をほころばせてこう語った。

「普通、(1試合で)5回もオフサイドになったら、責められるものだと思います。でも監督が、『(ボルシアMG戦では)良い動きをしていたから、繰り返せ、繰り返せ!』と言ってくれたおかげで、今日、裏に抜け出したゴールが獲れたと思います。それに、この1週間で(チームメイトとの)コミュニケーションもだいぶとれた。今日はオフサイドも少なくなりましたし、かなり良いコンビネーションが作れたんじゃないかなと思います」

マインツと自分の相性を見極めていた武藤。

 シュミット監督は、ハノーファー戦で武藤の活躍がチームの勝利に直結したのは、マインツのスカウティングの勝利かと問われ、こう答えた。

「そうだと言えると思う。武藤には他のクラブからもオファーがあった中で、ハイデルSDがマインツのサッカーが彼にうってつけだと納得させたわけだから」

 ただ、一気にまくしたてたシュミット監督は、こう付け加えるのを忘れなかった。

「スカウティングの成功でもあるけれど、ヨシが自分の頭でよく考えて、マインツこそが自分の次のステップだということを確信したことも良かったんだよ」

 武藤はFC東京を離れるにあたり、どのクラブであれば自らの特長を活かせるかを考えた。だからこそ、マインツで自らの存在をチームの攻撃のなかに落とし込めたのだ。

【次ページ】 ピッチ上で誰よりもパスを要求する姿勢。

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