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本田圭佑に起こった2つの変化。
“泥臭い”プレーの背景にあるものは?
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byItaru Chiba
posted2015/08/25 11:20
今季、本来の希望であるトップ下のポジションを手に入れた本田。2013-2014シーズン以来ミランは成績の低迷が続き、アッレグリ、セードルフ、インザーギと監督の交代が相次いだ。今年就任した新監督ミハイロビッチの下、結果が求められている。
本田に起こった2つの変化。
あれから約1年半――。変わったことが2つある。
まず1つ目は、ついにイタリアの地で念願のトップ下を手に入れた、ということだ。
8月23日のセリエA開幕のフィオレンティーナ戦において、本田はトップ下として先発した。
今季、新監督に就任したミハイロビッチは4-3-1-2を基本布陣としており、当初、本田はトップ下の3番手、4番手と思われていた。しかし、プレシーズンで驚異的な追い上げを見せ、開幕時には第1選択肢になったのである。
ずいぶんと遠回りしたが、ついに本田は慣れ親しんだ「我が家」に帰ってきた。
そして変わったことのもう1つは、イタリアサッカーへのアダプトである。
フィオレンティーナ戦の前半2分、GKのクリアが浅くなると、本田がトップ下から自陣深くまで猛然とダッシュして戻ってきた。
フィオレンティーナのイリチッチに2度も切り返しでかわされたが、マムシのように本田は食い下がり、最後はボールを奪うことに成功した。
「守備は好きではない」
そう公言して来た男が、泥臭く、体を張って、汚れ役を買って出ていた。前半34分には後ろから戻って、スライディングでパスをカットした。まるでマケレレだ。
トップ下ならチームを自分の色に染めやすい。
残念ながらその2分後、センターバックのロドリゴ・エリーが退場になり、新たにDFを投入するために本田はピッチから去らなければいけなくなった。さらに悪いことに、そのFKを決められ、結局ミランは0対2で敗れ去ってしまった。ミハイロビッチ新監督にとって、最悪のスタートである。
だが、まだ今季は始まったばかりだ。トップ下ならば攻守においてチームを自分の色に染めやすい。今はハードワークばかりが目立つが、少しずつ攻撃でも本田を中心にした連携が見られるようになっていくだろう。
それにしても、なぜこれほど本田は泥臭いプレーをするようになったのか? いったいどんな心境の変化があったのだろうか?
その答えは、Number884号に執筆した直撃原稿「自分を貫くのなら、移籍を視野に入れた方がいい」に譲りたい。