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プレミア2戦目で得た確かな評価。
初得点の岡崎慎司が更に望むもの。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2015/08/17 11:30
プレミア挑戦2試合目にしてゴールを決めた岡崎慎司。ブンデスリーガとは異なるスタイルのリーグに早くも適応すると同時に、得点を奪う能力の高さをファンに見せ付けた。
開幕を一週間後に控えた練習試合で決めたゴール。
7月13日、クラウディオ・ラニエリが新監督に就任した。63歳のベテランは11年ぶりのプレミアリーグ復帰となる。名将と呼ばれるに相応しいイタリア人だが、現代サッカーにおいては、モダンな監督とは呼べないかもしれない。それでも、かつてカテナチオで世界を席巻したイタリアサッカーの象徴的存在という意味では、元日本代表監督のザッケローニと共通点があるようにも感じられ、長く彼のもとでプレーした岡崎にとって、ラニエリ就任は追い風になるような予感がした。
しかし、下部リーグとの練習試合では3試合ノーゴール。開幕を1週間後に控えた2部のバーミンガム戦では、スタメンからも外れた。けれど後半27分に途中出場したその試合で、クロスボールに飛び込むダイビングヘッドでゴールを決める。
「次、1分でも2分でも自分に時間を与えてもらえるインパクトを残せた」と話した岡崎は、開幕スタメンを望んではいたが、確約されたとは考えられなかったはずだ。だが、指揮官は彼の能力に気づいていた。
「ゴール前の嗅覚があり、点取り屋としてのプレーに驚かされる。ボールの扱い、守備ラインの駆け引きが素晴らしい。彼の闘志こそ私が求めるもの」と絶賛した。
開幕戦のポスターには、岡崎の写真が!
8月8日、リーグ開幕戦をホームにサンダーランドを迎えたレスターは、その試合のプログラムのポスターに岡崎を起用。サポーターにとっての期待値も上がるなか、先発出場を果たす。
この日は得点こそ奪えなかったものの、守備陣からのボールを前線へ繋げるプレーや前線からのプレッシングなど、4-2の勝利を支えた岡崎の献身的なプレーに賛辞が集まった。ゴールはもちろん、シュートの数もそれほど多くはなかった。しかし、岡崎がその試合で“効いている”ことが認められた。もちろん勝利したからこそ得られる評価だ。
インテルで長友佑都を指揮したラニエリ監督は、強い個を発揮することで生き残ってきた欧州のサッカー選手とは違う、日本人の能力についての理解もあるに違いない。オーダーを忠実に消化しようとする勤勉さや運動量、爆発力や秀でた一芸は無くとも、その日本人がもたらす効果への信頼が、守備を固め逃げ切るためにも岡崎を90分間起用した事実から伝わってきた。