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プレミア2戦目で得た確かな評価。
初得点の岡崎慎司が更に望むもの。
posted2015/08/17 11:30
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
AFLO
62分、ピッチをあとにする岡崎慎司の姿に目を見張った。
交代を告げられる直前まで漲っていたエネルギーのスイッチが切れたように、その姿からは、試合で受けたダメージの大きさが伝わってきた。
前半の負傷時に治療のために使った止血剤だろうか? 汗で流れたのか、頭右半分がベットリと固まり、髪を白く染めている。しかしそれを気にする様子は一切ない。
緑豊かなプレミアリーグのピッチでは、選手が泥だらけになるようなことはほとんど無いだろうが、泥臭い男の生き様がそこにはあった。
無我夢中で戦い、持てる力を発揮した充実感を放っている。
29歳の岡崎に14億円、4年という高評価。
8月15日。イングランドプレミアリーグ第2節。ウェストハム対レスター戦。岡崎はプレミア初ゴールでチームに先制点をもたらし、18年ぶりの開幕2連勝という大きな結果に貢献した。
過去何度となく移籍先として報道されていたプレミアリーグ・レスターへの移籍話が現実化したのが6月25日。ドイツ紙で報道されたときには、すでに岡崎は英国へと渡っていた。翌26日にはクラブから正式な発表があり、「プレミアリーグでプレーするのが夢だった」という岡崎のインタビューも公式サイトに掲載された。
移籍金は推定1000万ユーロ(約14億円)。4年という長期契約が結ばれた。マンチェスター・ユナイテッドへ移籍した香川真司の1500万ユーロには及ばないが、当時香川は23歳だったことを考えると、29歳プレミア初挑戦となる岡崎への高評価が理解できる。
「2年近く彼を見てきて、やっと獲得できた」とクラブのアシスタント・マネージャーがコメント。レスターにとっても願いが叶ったのだ。
「行ったことがないリーグで、イメージできないようなチームでやることに魅力を感じた。W杯やアジアカップで悔しい思いをしたので、もう1度苦しいところでもがいて、そこからチャンスを掴みたい」
6月29日、契約を終えて帰国した空港で岡崎はそう話している。