eスポーツは黒船となるかBACK NUMBER
eスポーツを東京五輪の公開競技に!
ゲームが文化になる準備は整った。
text by
八木葱Negi Yagi
photograph bySANKO.INC/Negi Yagi
posted2015/08/12 10:40
普段はプロ選手が緊迫した試合を繰り広げるアリーナも、この日は和やかムード。お揃いのTシャツを作って出場する気合の入ったチームも。
「接待ゴルフ」ならぬ「接待ゲーム」という言葉も。
A5Gはこの連載でも何度も紹介した『League of Legends』というゲームの企業対抗戦としてスタートした。
開催当日、“選手たち”はそれぞれ仕事を終えて秋葉原『e-sports SQUARE』に集まってくる。この日に向けて多くのチームが帰宅後にオンラインで一緒に練習を積んできていて、そこはやはりゲーマー、最初から負けるつもりのチームはない。
とはいえ、いつもはプロ選手たちが鎬を削り緊張感溢れる対戦ブースも、この日はやはりどこかなごやかムード。試合前に少々お酒を口にしているメンバーの姿も見える。
企業対抗と銘打ってはいるものの、5人で構成されるチームに3人同じ会社の人がいればあとの2人は自由、そして試合の日には関係者やプロ選手なども応援に現れ、さながら「大人のクラブ活動」といった風情だ。
普段は一緒に仕事をしたり、取引先であったりするメンバーと、ゲームの中では新たな関係性ができる。そしてよく知らなかった人とも一気に仲良くなる。
最近では「接待ゴルフ」ならぬ「接待ゲーム」という言葉も使われるようになり、試合に関係なく夜な夜な集まってゲームをしていたりしているグループもあるという。ゲームプレーヤーの裾野が大きく拡大しているのだ。
日本のゲームプレーヤー平均年齢は欧米より若い!
東京大学でゲーム研究をする馬場章教授は、日本のゲーム文化が最近まで広がってこなかった理由の1つとして、プレーヤーの年齢層をあげている。
「意外かもしれませんが、日本はゲームプレーヤーの人口が極めて若年層に偏った国なんです。アメリカは31歳、イギリスは35歳、フランスはなんと41歳。つまり、ゲームが大人のレジャーとして社会に定着しているんです。
一方の日本は27.5歳。しかもこれはスマートフォンで遊ぶソーシャルゲームが流行ってからの数字なので、据え置き機やPCでゲームをしている層はもっと若い人々です。世界一発売されているゲームタイトルが多く、数々の名作ゲームを生み出して世界からもリスペクトされている国が、実は国内ではゲームが十分にリスペクトされてこなかった、という状況なんです」