Jをめぐる冒険BACK NUMBER

鹿島・石井監督の会見で起きた拍手。
“ジーコ・スピリット”は再び宿るか。 

text by

飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

PROFILE

photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2015/07/29 10:40

鹿島・石井監督の会見で起きた拍手。“ジーコ・スピリット”は再び宿るか。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

Jリーグ開幕から数年間鹿島アントラーズの主力として、後の礎を築いた石井正忠新監督。監督代行を除けば、初代監督の宮本征勝以来21年ぶりの日本人監督となった。

石井監督はさっそく紅白戦でのスライディングを解禁。

 土居と同じく昨季、トニーニョ・セレーゾ前監督によってセンターバックに抜擢された22歳の昌子源は、逆に「プレッシャーはない」と言った。だが、その思いには土居と通ずるものがある。

「プレッシャー自体はそんなに感じてないです。そもそも、自分たちは常勝軍団じゃないと思っていますから。16個ものタイトルを獲って黄金時代を築いたのは先輩たちであって、僕らではない。そこにすがっていてもダメだし、僕らは今恥ずかしい結果しか残せていないので、再びそこに行くために、このメンバーで何かを築きたい、何かを変えていきたいっていう気持ちがすごくあります」

 アントラーズの創設メンバーとしてジーコとともにプレーし、その哲学に間近で接した石井監督は、さっそく紅白戦でケガ防止のために禁止していたスライディングを解禁したという。そのようにして彼は、チームに今一度激しさや厳しさ、勝利への飽くなき執念を、あの手この手で植えつけていくはずだ。

 だが、鹿島の未来を担う若者たちはすでに分かっている。それは監督に教えてもらうものでなく、自分たちで気づき、身につけていくものだということを。

 柴崎岳のミドルシュートで先制し、後半に入って一度は追いつかれたFC東京戦。81分にコーナーキックから昌子が叩き込んだ決勝ゴールには、わずかではあるが「ジーコ・スピリット」が宿っていたような気がする。

BACK 1 2 3
鹿島アントラーズ
石井正忠
土居聖真
昌子源
トニーニョ・セレーゾ

Jリーグの前後の記事

ページトップ