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鹿島・石井監督の会見で起きた拍手。
“ジーコ・スピリット”は再び宿るか。 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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posted2015/07/29 10:40

鹿島・石井監督の会見で起きた拍手。“ジーコ・スピリット”は再び宿るか。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

Jリーグ開幕から数年間鹿島アントラーズの主力として、後の礎を築いた石井正忠新監督。監督代行を除けば、初代監督の宮本征勝以来21年ぶりの日本人監督となった。

 カップ戦ならともかく、リーグ戦でこれほど拍手が起こるのも珍しい。

 鹿島アントラーズの新指揮官、石井正忠監督の記者会見のことだ。

 過去2年無冠に終わり、今季も中位に甘んじていたトニーニョ・セレーゾ前監督が解任され、急きょコーチから昇格することになったのは、7月21日のことだった。

 そのわずか4日後に迎えたFC東京戦。試合前にはゴール裏のサポーターが新監督を勇気づける横断幕を数多く掲げ、ゲームも鹿島が2-1でFC東京を振り切った。

 報道陣から石井監督に贈られた拍手は、デビュー戦を白星で飾ったことへの祝福であり、常勝軍団の再建というミッションを託された、クラブ史上ふたり目の日本人監督へのエールであり、人間味あふれた記者会見に対する賞賛でもあっただろう。

 目尻の下がった優しい表情と「ホッとしている」という言葉で始まった会見は、随所に本音が見え隠れして、聞いていて微笑を誘われるものだった。

「やっぱりかなりの重圧で、逃げたいというわけではないが、そういう気持ちもちょっと」

「この何日間、振り返ろうとしても、あっという間に時間が過ぎてしまった」

「時間をおいてゆっくりやりたかったなっていうところからの気持ちなんじゃないかと」

 そんな微笑ましい会見の中で、個人的に強く耳に残ったのは「ジーコから受けた影響は何か」という質問に対する答えだ。新監督はきっぱりと言った。

紅白戦であっても、勝負にこだわるジーコ・スピリット。

「勝負に対する厳しさ、戦う姿勢ですね。ミニゲームであっても、紅白戦であっても、勝負にこだわるところ。その姿勢は教わりました。そこはうちのカラーでもあるので意識しているつもりです」

 公式戦はもちろんのこと、トレーニングの一環であるミニゲームも紅白戦も、勝負と名のつくものにはすべて勝つ。絶対に負けたくない。

 選手、スタッフの一人ひとりに激しく脈打つ勝利へのこだわり、あるいは勝者のメンタリティ――。それこそが、このクラブに息づく「ジーコ・スピリット」と呼ばれる精神だろう。

【次ページ】 何度も世代交代を乗り越え、黄金時代を築き上げた。

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