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五輪最終予選へ「軸」は見えた!
リオへ向け新戦力が台頭するU-22。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byKyodo News
posted2015/07/02 11:40
リオ五輪のアジア枠は「3」と、ワールドカップよりも狭き門である。近年はアンダー世代で敗れることが多い日本だが、ここだけは譲るわけにはいかない。
井手口、喜田のボランチ勢も存在感をアピール。
井手口陽介はボランチとして出場し、まずまずのプレーを見せた。ルーズボールを拾い、相手のカウンターを体を張って潰した。守備面での貢献は見えたが、持ち前の攻撃面では物足りなかった。
「まだ、自分から要求することができてないし、味方にも要求できていない。前にというプレーが出せていない」と、課題は自覚している。18歳だが気持ちの強さは代表選手のレベル。国際試合向きの性格でもあるので、最終予選に不可欠な選手になっていきそうだ。
喜田拓也も良かった。
ダブルボランチのひとりである遠藤がやや守備的な分、コンビを組むボランチが前に出ていくことやボールをさばくことが出来れば攻撃の幅が広がる。横浜F・マリノスで見せている攻撃的なプレーが代表でも出来ており、守備でも相手にしつこくまとわり付いてテンポを遅らせた。もう少し長い時間のプレーを見てみたいと思わせる選手だった。
A代表に倣った、縦に速く裏を狙う戦術も徐々に浸透。
戦術的な上積みも見られた。
手倉森監督はヴァイッド・ハリルホジッチ監督が標榜する、縦に速く裏を狙うサッカーの意識をチームに浸透させようとしていたが、その意識がさっそく出たシーンがあった。
前半6分、遠藤の縦のロングパスで裏に抜け出た浅野が決定的なシュートを放った。
「まだ、ボランチが持った時やトップ下が持った時、どのタイミングで走るのか掴めていない。ちょっと待ってしまう」と、浅野は課題を口にしたが、今後呼吸を合わせていけばより多くの決定的なチャンスを作れるだろう。さらにトップ下の中島とのコンビネーションを磨けば、ロンドン五輪時の清武弘嗣&永井謙佑のようなホットラインを実現できる。それが得点源のひとつになれば、リオ五輪最終予選突破の切り札になるはずだ。
守備は安定していた。
前半10分にパスを奪われて中央を割られて決定的なシーンを作られたが、それ以外はほとんど決定的なシーンを作らせなかった。シュートも前後半合わせて6本に抑えた。これで、3月のミャンマー戦から1次予選3試合と合わせて5試合連続で完封したことになる。
相手は主にアジアで、親善試合も2試合含まれているが、ゼロに抑えるのはどんな相手でも容易なことではない。力が互角以上の相手と対峙した時、どうなるのかはやってみないと分からないが、守備の意識が全体的に高くなっているのは最終予選を戦う上で大きな自信にもなる。