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内田篤人と6人目の監督の相性は?
シャルケ再建を担う新監督は41歳。
text by
遠藤孝輔Kosuke Endo
photograph byBongarts/Getty Images
posted2015/06/19 11:00
若く、情熱に溢れ、新しい戦術観を持つブライテンライター新監督。チームの中軸メンバーの残留もほぼ決まっているようで、内田にとっても期待大の来シーズンになりそう。
5年で5人も監督が交代している原因は何か?
必要なのは時間だ。
リーグ制覇から半世紀以上も遠ざかり、昨シーズンは最低ノルマだったチャンピオンズリーグ出場権も逃したシャルケの首脳陣は近年、継続性や忍耐力を欠いている。前述したとおり、過去5年で5人もの監督交代に踏み切っているのだ。そのたびにチーム方針がコロコロと変わり、選手たちは難しい対応を強いられてきた。ファンの怒りの矛先が今、選手よりホルスト・ヘルトらをはじめとするクラブ幹部に向いているのは当然だろう。
そのヘルトが新監督に期待するのは、魅力的な攻撃サッカーを展開し、ファンを熱狂させるチームスピリットも兼ね備えたチームの再構築となる。
それを十分に心得るブライテンライターは、就任会見で「選手たちが互いを信頼しなければならない。ピッチで闘志溢れるプレーをするチームを作りたい」と団結や精神面の重要性を強調している。
思い出したのは、7年前のクロップ――。
ブライテンライターのこの就任劇を見ていて、ふと思い出したのは7年前のドルトムントだ。
隣町に本拠を構えるシャルケの宿敵は'08-'09シーズンの開幕前、低迷打破の切り札としてユルゲン・クロップを新監督に据えた。当時のクロップは現在のブライテンライターと同じ41歳と若く、スモールクラブ(マインツ)を1部初昇格に導いた経歴も同様。ビッグクラブでの指導歴はなかった。そんなクロップがドルトムントで描いたサクセスストーリーは周知のとおり。クラブ史に残る黄金時代をもたらし、昨シーズンいっぱいで惜しまれながらドルトムントを去った。
ブライテンライターがシャルケにとってのクロップになるには、繰り返すが、フロントの厚い信頼が不可欠だ。
4部クラブでの経験しかなかった新米監督がパーダーボルンを1部に導けたのも、10節終了時点で15位と出だしで躓きながら、首脳陣が早期解任に踏み切らなかったからだ。はたして堪え性のないシャルケの幹部たちが掌を返さず、指導者としては駆け出しのブライテンライターを信用しつづけられるか――。大きな見どころだ。