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ハリルジャパンの新エース候補、
宇佐美貴史が語る「ドリブル論」。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/06/10 10:40
2011年6月、2012年11月の招集時には、出場機会がなかった。今年3月27日のチュニジア戦で4年越しの代表デビューを果たし、31日のウズベキスタン戦では念願の同初ゴール。
ネガティブな言葉を並べる宇佐美の真意とは?
今が充実しているという証拠なのかもしれないが、過去を振り返る際に宇佐美はネガティブな言葉を並べる。曰く、ガンバ復帰後にポジションを中央へと移したのも「サイドアタッカーとして挫折した」から。表情を変えることなくさらりと「挫折」という単語を発せてしまうあたりに、苦難の時期を乗り越えた男の強さが垣間見えた。
6月16日のシンガポール戦から始まる、日本代表のロシアW杯アジア2次予選。宇佐美は同世代の武藤嘉紀や柴崎岳とともに、ハリルジャパンの新エース候補に挙げられている。「体脂肪事件」に象徴される厳しい言葉の数々も、指揮官からの期待の表れだろう。
宇佐美が、ドリブラーの血をたぎらせた瞬間。
そんな指揮官が率いたアルジェリア代表は昨年のブラジルW杯で、サイドアタッカーがドリブルでボールを運ぶ場面も目に付いた。かつての自分のポジションに話が及ぶと、宇佐美の言葉に熱がこもる。
「ポルトの選手(ヤシン・ブラヒミ)やバレンシアの(ソフィアン・)フェグーリとか、仕掛けられる選手がいたからそういう選択をしたのかなとも思います。自分も仕掛けのクオリティを磨いていくことで、そういう選択肢になれるようにならないと」
中央にポジションを移してからは、ドリブルも数あるプレーの選択肢のひとつに落とし込むことができたという。だが、話を続けるうちに一瞬だけ、ドリブラーの血をたぎらせた。
「パスで動かして効率的に、という最近の流れの中で、効率良く守ってくる相手をどう崩すかとなると、逆にドリブルしかなかったりしますし。ドリブルが武器になるように練習しておいて良かったなと、僕自身は思います」
それは宇佐美がこのインタビューで唯一、過去の自分を肯定した言葉でもあった。
そんな宇佐美にとって、日本代表とはどんなところなのか。
そして今度こそ、その才能に違わぬ大ブレイクとなるのか?
思わぬ話題となった「体脂肪事件」から、監督についても語った――。
Number879号の本編「このブレイクを信じていいのか?」で、宇佐美の代表への熱い思いを感じてください。