フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
パトリック・チャンが正式復帰発表!
元世界王者が競技に戻った理由とは。
posted2015/05/08 10:45
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Akiko Tamura
5月5日の朝、カナダのパトリック・チャンが電話記者会見を行なった。
ソチ五輪銀メダリストのチャンは昨シーズン1年間、競技から離れ休養をとっていたが、来シーズンから競技に戻ってくることを宣言。ソチ五輪前と同じく、キャシー・ジョンソンコーチ指導のもと、デトロイトを拠点にするという。
久々の記者会見では、モチベーションや抱負などを語った。
競技復帰を決意した理由とは?
10人ほどの記者たちとのカンファレンスコール会見で、チャンはまず復帰を決意した理由について口を開いた。
「(2010年)バンクーバー五輪が終わった直後、自分はここまでだ、という気持ちになったことがあった。でも続けてみるとまだ伸びしろはあったし、実際にあれからさらに成長することができました」
バンクーバー五輪当時のチャンはまだ19歳。その前年の世界選手権で銀メダルを獲得し、バンクーバーでもメダルを期待されていたが、ミスがあって5位に終わった。だがその翌年からチャンは4回転を試合に組み込んで、世界選手権3連覇を成し遂げた。
「ソチ五輪が終了して、自分のピークは終わったかなと感じたとき、そのことを思い出してまだ自分は成長できると思い直したんです。それは必ずしも順位についてではありません。スケーターとしてさらに豊かな表現力を身につけて、よりバランスのとれた選手に成長していきたいと思ったんです」
一番感動したのはアイスダンス。なぜなら……。
昨シーズンの競技を見てどう感じたか、と聞くとチャンはこう答えた。
「世界選手権で一番感動したのは、アイスダンスのフランスの組(パパダキス&シゼロン)だった。アイスダンスのことは何も知らないけれど、彼らの表現力に魅せられて目が離せなかったんです。彼らの訴えかけたいストーリーが本当に心に響いてきて……」
そしてちょっとためらいがちに、こう口にした。
「男子は、後になってYouTubeでしか見ていないんです。ハビエルの4回転も、ユヅルの3アクセルなども、相変わらず素晴らしいなと思いました。でも正直に言うと、途中は早回しで見ました。今までのプログラムとあまり変わってない印象だったので」
以前から、率直な発言をするチャンらしいコメントだった。
「ハビエルのプログラム(セビリアの理髪師)は、以前の『チャップリン』とあまり変わっていない。それが彼に合っているスタイルなのだろうと思います。
でもぼく自身が復帰するモチベーションは、氷の上で様々なものを表現して、これまでになかったものを持ち込んでみたいという気持ちなのです」