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Jリーグはアジアの盟主から陥落!?
中国、ASEANの資金力に抗う方法は。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byKyodo News
posted2015/04/13 10:30
習近平主席はサッカーファンとして知られ、政府は「中国サッカー改革の総合プラン」を発表。W杯出場を目標とし、2025年までにサッカー学校を5万校設立、海外コーチの招聘などを計画している。
「ベトナムやタイがJの平均報酬を越える可能性が」
(2)ASEAN:「プレミア偏重から国内投資への変換」
これまで東南アジアでは、イングランドのプレミアリーグが絶対的な人気を誇っていた。だがタイやベトナムの政治家や富豪が名声や人気を高めるために、地元のクラブに投資を開始。
それにともない国内リーグの熱が急速に高まっている。三菱総研のレポートによれば、10年後、ASEAN10の名目GDPは日本を上回る見込み。中西氏は「ベトナムやタイのリーグが、Jリーグの平均報酬を越える可能性がある」と警鐘を鳴らした。
(3)カタール:「徹底的なクオリティー主義」
2004年にアスパイア・アカデミーを設立。最先端の医療施設を備え、科学トレーニングに重きを置いている。
アカデミーのジェネラル・ディレクターには、レアル・マドリーで戦略責任者を務めたイバン・ブラーボを招聘。サッカー部門の責任者は、元ソシエダのロベルト・オラベ。人口はわずか200万人だが、オイルマネーを惜しみなく人材と環境に投資している。
カタールの各クラブには、政府から巨額の分配金が与えられ、リーグから事業、広報、財務、分析のスタッフが派遣されている。すでに育成に効果が現れており、2014年のAFC U-19選手権で初優勝した(日本はベスト8で敗退)。
(4)オーストラリア:「降格なしで投資を呼び込む」
ヨーロッパとは異なるアプローチをしており、2部降格がないのが特徴。そのため企業や富豪からの投資を呼び込みやすい。10チームが3度対戦して、上位6チームによるプレーオフを行なう。今年1月、高萩洋次郎と田中裕介がウェスタン・シドニーに移籍して話題になった。中西氏によれば「彼らはJリーグの優れた選手を獲りたがっている」。