プロ野球亭日乗BACK NUMBER
グリエルの“計画的犯行”を許すな。
キューバ選手獲得で露呈した「穴」。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/04/10 10:50
昨シーズン終了後に日本を去ったまま、グリエルが再来日することはなかった。横浜のフロント、チームメイト、そしてファンの気持ちはいかほどか。
道義的には非難されているが、選手としては高評価。
こうして日米の草刈り場となるならば、キューバ選手の契約には正式なルートによる明確なルール作りは絶対に必要である。
各球団単位ではなく、NPBがキューバ側と正式に交渉して、選手契約の明確なルールを決める。その上でそのルールに則って、選手契約を結ぶ。この手順を踏むようにしないと、今後もグリエルのケースのような“無法”が、繰り返される可能性は十分にあり得る。
「自分は亡命をするつもりはない。正式に政府が(メジャーで)プレーをできる許可を与えてくれるのを待っている」
グリエルはヤフーのインタビューでこう答えていた。
今回の契約解除に至ったグリエルの行動は「プロの道義とは完全にかけ離れた行為」(ESPNスペイン語版)と米国でも批判の対象となっている。ただその一方で、米球界での選手としての評価はうなぎ上り。同世代の野手では昨年9月にキューバから亡命したヘクター・オリベラ内野手が、3月に6年総額6250万ドル(約78億円)でロサンゼルス・ドジャースと契約した。グリエルの評価はさらに上で、6年総額で8000万ドル(約100億円)とも言われる高額契約となる可能性もささやかれている。
こんな“やり得”を許さないためにも、きちっとしたルールは必要だろう。