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<新指揮官の思い>
工藤公康「鷹への恩返し」 

text by

城島充

城島充Mitsuru Jojima

PROFILE

photograph byRyoji Hanjo

posted2015/04/09 06:00

<新指揮官の思い>工藤公康「鷹への恩返し」<Number Web> photograph by Ryoji Hanjo
 4球団を渡り歩いた男が帰る場所として選んだのは、昨季日本一の福岡ソフトバンクホークスだった。
 理論派の呼び声高い新人監督が目指すものとは――。

「おかえりなさい」

 ファンからそう声をかけられたのは、キャンプイン直前の1月30日、福岡市内にある筥崎宮へ必勝祈願に訪れたときだった。29年間の現役生活で4球団を渡り歩いた工藤公康にとって、福岡でプレーしたのは1995年から'99年までの5年間にすぎない。それなのに、この日は雨が降る中、過去最多の約5000人のファンが駆けつけ、新しい指揮官の“復帰”を大きな期待とともに受け入れてくれた。

「福岡の人たちが僕のことを覚えていてくれた。忘れないでいてくれた。そのことを感じるだけで胸が熱くなりましたし、やらなきゃいけないって改めて思いましたね」


 秋山幸二前監督と同じ背番号「81」を引き継いだ新監督は、その感慨に連覇を目指す決意を重ねたが、コーチ経験のない新監督が、前年に日本一に輝いたチームの指揮をとった前例はこれまでにない。通算224勝をあげた偉大なサウスポーはなぜ、大きな重圧とリスクがかかるミッションを引き受けたのか。

「それは王貞治会長をはじめ、福岡のみなさんに恩返しをするためです」

 51歳の指揮官はそう口を開くと、時計の針を1999年のオフに巻き戻した。この年のシーズン、ダイエーを初の日本一に導いた左腕はFA宣言して巨人に移籍するのだが、残留を求めるファンの署名は17万人を超えた。球団との交渉でどうしても譲れない一線があったが、福岡を去る際の後ろ髪をひかれる思いは常に胸のなかにあった。

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