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西武3連勝を導いたサブマリン牧田。
好投を生んだ「開幕投手」の昂揚感。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/03/31 10:35

西武3連勝を導いたサブマリン牧田。好投を生んだ「開幕投手」の昂揚感。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

開幕戦で勝利を手にし、ファンとウイニングタッチをしながら球場を去る牧田和久。2014年はプロ入り以来最も悪い防御率を記録した。逆襲のシーズンに期するものは大きいはずだ。

無意識のうちに「開幕投手」を楽しんでいた。

 アンダースローは、オーバースローやサイドスロー以上に下半身へ負荷がかかりやすい。そのため、体のバランスをより意識しながら投げるのだが、牧田にとってそれを示すバロメーターが、下半身の筋肉の張り具合なのだという。パフォーマンスがイマイチの時は右足太ももの外側が張るが、いい時は捕手の方向、つまり内側に力が伝わるのだそうだ。この日の牧田の状態は後者だったため、多少のボールのばらつきをボールの威力で補うことができたのだ。

 もうひとつ、快投を後押ししたのが「開幕投手」というスパイスだ。

 牧田自身は「関係ない」と言う。だが、この特殊なマウンドが、無意識のうちに化学反応を起こしてくれたのも事実だった。

「投げているなかで『楽しくなってきたな』と思えるようになってきて」

 他の投手ならば重圧と責任感をもって上がる開幕戦のマウンドを、牧田は楽しんでいたというのだ。

「いつもは楽しくなんてならないんですけど……」

 その昂揚感がピークに達したのが、最大のピンチを迎えた6回表だったというのだからさらに驚かされる。

 1死から糸井と中島に連打を浴び二、三塁。そこからブランコを内角高めのストレートでショートフライに、続くT-岡田を外角低めのシュートでファーストゴロに打ち取った。

 牧田はこの窮地での心境を説明する。

「それまでもピンチはありましたけど、どこか淡々と投げていた部分があって。6回のピンチでは、『やべぇ、楽しくなってきた』って感覚になってきましたね。いつもは楽しくなんてならないんですよ。ピンチになると、『どうしよう……抑えられるかな?』とか思いながら投げているんですけど、今日楽しめたっていうことは、1球ごとに集中していけたっていう印象なんですかね。それとも、自分は変人なんですかね(笑)」

 今までの牧田にはあり得なかった心境の変化が好投を生み、味方打線の奮起を促した。その裏に虎の子の1点をもぎ取った西武は開幕戦に勝利し、その後、3連勝と最高のスタートを切ることができた。

 牧田は、「今日は100点に近いピッチングだったんじゃないですか」と自己評価をしつつも、「これからもやってきたことを出すだけです」と、その姿勢は変わらない。

 それでも周囲は期待してしまう。

 サブマリンが投げれば、そのボールの軌道の如く、西武は上昇気流に乗っていくだろう――と。

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