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西武3連勝を導いたサブマリン牧田。
好投を生んだ「開幕投手」の昂揚感。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/03/31 10:35

西武3連勝を導いたサブマリン牧田。好投を生んだ「開幕投手」の昂揚感。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

開幕戦で勝利を手にし、ファンとウイニングタッチをしながら球場を去る牧田和久。2014年はプロ入り以来最も悪い防御率を記録した。逆襲のシーズンに期するものは大きいはずだ。

西武の53年ぶり開幕3連戦3連勝を後押しした。

 この1勝で西武は勢いに乗った。

 翌日の試合でも完封勝利を収め、第3戦も逆転でものにした。開幕3連戦3連勝は1962年以来、53年ぶりの快挙だった。しかも、今年勝ったのはソフトバンクとともに優勝候補に挙げられるオリックスである。相手の出鼻をくじくと同時に、「2強」による覇権争いにも風穴を空けた。たった3試合でそう断言するのは早計かもしれないが、西武にとって価値のある3連勝だったことは確かだ。

 西武へ吹く追い風。その風を起こしたサブマリンは、今後、チームにとって大きな存在となるに違いない。

外と内の投げ分けと、力強いボールを投げ込む意識。

 昨季はチームで唯一、シーズンを通してローテーションを守りながらも8勝9敗。満足のいく成績を残せなかった牧田にとって、開幕戦のマウンドは「1試合、1試合、自分の投球をする」という姿勢を再認識するのにふさわしい舞台だった。

「今の自分に何ができるのか? ってことを意識しすぎて、甘いところにボールがいって打たれる。そんな試合が去年は多かった」

 牧田はそう忸怩たる想いを漏らす。

 投手とは、100%思い通りにボールを操れるわけではない。そこで牧田が心がけたことは、内・外角への制球に細心の注意を払うこと。それと同時に、多少甘いコースであっても打ち損じてくれるだけの力があるボールを投げることだった。それを実戦で具現化させるべく、キャンプでは1日300球以上を投げ込む日を設けるなど、牧田は投げることで自分のボールと体を仕上げていった。

 開幕戦ではその手応えを掴むことができた。

「どのバッターだからとかは関係なく、インコースとアウトコースにしっかり投げられれば、結果がどうあれ納得できるかな、と思いながら投げました。今日は球持ちもよくて、強いボールを投げることができましたね。少々甘いところにいっても打ち取れましたし、自分の感覚としてはよかったと思います」

【次ページ】 無意識のうちに「開幕投手」を楽しんでいた。

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