サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
U-22、リオ五輪予選まであと2週間。
格下相手の9-0は収穫か、不安か。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2015/03/12 12:10
Jリーグが開幕した年に生まれた選手を多く含む、U-22代表。アジアの五輪出場枠は3と、W杯よりも狭き門だが、リオで6大会連続出場をぜひとも果たして欲しい。
クラブで出られないからこそ、代表で結果を。
2人が4点ずつ奪えたのは、Jリーグで試合に出られない状況だからこそ、代表で結果を出したいという思いが強かったからだろう。それは中島が決めた3点目が物語っていた。早いリスタートから荒野拓馬に当て、再び受けてシュートを放った。1点でも多く取りたいという気持ちが、結果に繋がった。それは他選手への刺激にもなり、全員の得点への意識を高めることにもなる。大きなプレーだった。
「今日、Jリーグで出場機会がない選手が点を取れたことはすごく大事。代表を活躍の場として結果を残せるのは選手の能力だと思うし、それは代表チームにとってもプラスなので継続していければいいかなと思います」
遠藤も、攻撃陣の活躍をこう喜んでいた。
守備に関しては、ほとんど危ないシーンがなかった。ただ、攻撃中にダブルボランチの遠藤と原川力が2人とも前掛かりになってバイタルエリアにスペースができ、ボールを奪われた後にそのスペースを使われるシーンが何度かあった。力のある相手であれば、決定機を作られていた可能性が高い。とはいえ、最終ラインの細かいミスも含めて総じて修正が可能なものといえるだろう。
仕上がりも、認知度も彼らはまだまだ成長途上。
むしろミャンマーのようなレベルの相手であれば、徹底して守ってくれた方が予選前の試合としては意義があったように思える。アジアの予選では相手に引かれることが圧倒的に多いからだ。
1次予選の対戦相手であるマカオ、ベトナムもおそらく守備的な戦術で日本に抵抗してくるだろう。そういう相手と戦う際は、攻守の切り替えが重要になる。ボールを奪われてモタモタしてれば、カウンターの餌食になってしまう。厳しいプレッシャーの中での攻守の切り替えや組織的な守備がどの程度、機能するのか。宿題が本番に持ち越しになったことがどう影響してくるか……。
「まだ、完成度は100%ではない」
遠藤は、そう言った。
この日の観客は5596人と、会場となったフクダ電子アリーナには空席が目立った。
組織としての仕上がり、選手たちの認知度も含めて、このチームにはまだまだ伸び代がある。これから先、どのくらいチームの完成度を高め、ファンを魅了するサッカーを展開することができるか。
1次予選の初戦は27日、マカオ戦だ。