なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
なでしこ、過去最低のアルガルベ杯。
それでも佐々木監督が強気な根拠。
posted2015/03/12 11:20
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph by
Tsutomu Kishimoto
アルガルベ杯最終日、グループリーグを1勝2敗と負け越したなでしこジャパンは9、10位決定戦でアイスランドを2-0で下し、9位で大会を終えた。
9日のフランス戦から先発10人を入れ替え、「これまで出場機会の少なかった選手」(佐々木則夫監督)を中心に前半をスコアレスで終えるも、後半開始と同時に「予定通りの交代、配置」(同監督)で大儀見優季、宮間あや、宇津木瑠美の3選手がピッチに入ると、チーム全体のバランスが改善され、粘るアイスランドを突き放した。
前半はよくも悪くもボールを支配することで精一杯だったが、ハーフタイムの選手交代を機に劇的に変化。とくに中盤で新たに試された組み合わせこそが、思うような結果が出なかったなでしこジャパンのアルガルベ杯での最大の収獲になったのではないか。
後半の選手交代から、試合の流れが激変!
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高瀬愛実と安藤梢の2トップ、左右のMFに鮫島彩と永里亜紗乃、ボランチに阪口夢穂と上辻佑実を並べたのが、前半スタート時の中盤から前の布陣。だが、パスは回るものの、縦への意識が薄く、横パスを多用する場面が目立つなど、相手を崩すにはあと一歩が足りなかった。
23分には右サイドバックに入った有吉佐織の惜しいシュート、39分には左サイドバックの上尾野辺めぐみのポスト直撃のシュートから永里がこぼれ球をねらうシーンなどもあったが、全体として攻めあぐねた印象は拭えない。
しかし、後半の頭に高瀬、永里、上辻に代わり、大儀見、宮間、宇津木が入ると、流れは一変。
この交代で、大儀見が1トップ気味に入り、その下に宮間、そしてボランチで宇津木が阪口と並んだわけだが、宇津木が後方から阪口とともにビルドアップにテンポをもたらすと、大儀見が最前線でボールを引き出し、宮間も2列目からのパス出しと飛び出しで躍動し、2ゴールのオマケも付いた。
出場早々の47分に宇津木のマイナスの左クロスに左足で合わせると、59分(※)にも上尾野辺の左クロスを中央で合わせた宮間。ボランチから1列前にポジションを上げたことで、より高い位置取りが可能となり、これまで以上にキックの正確さと攻撃のアイデアが相手の脅威となっていたといえる。
(※2点目は当初、宮間のシュートを押し込んだ大儀見のゴールとされていたが、大儀見が触った時点ですでにゴールラインを割っており、宮間の得点に修正されている)。