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石川遼は試合に出場しすぎなのか?
年間最大41試合に出ることの弊害。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byAFLO

posted2015/03/12 10:30

石川遼は試合に出場しすぎなのか?年間最大41試合に出ることの弊害。<Number Web> photograph by AFLO

今年はなかなかポイントを獲得できずにいる石川遼。春からはマキロイらも本格的に始動し、さらに厳しい戦いが待っている。

出場しても、予選落ちしてしまえばポイントは得られない。

 石川は毎週プレーするコースと真摯に向き合うし、試合会場で熱心にボールを打ち込む姿を多くの人が知っている。

 ただ、「試合」と「練習」のメリハリを自ら作り出し、ラウンド中に“邪念”が入らないよう、試合に費やす時間を削ってでも練習で打ち込むというのも、ツアープロの戦い方のひとつ。不振にあえぐタイガー・ウッズが先月、体調の無事を強調しながら「戦える状態になるまで」と休養を発表したことは記憶に新しい。

 確かに石川はウッズとは立場が違い、欠場を選択することには不安が付きまとう。しかし試合に出場することを選んでも、予選落ちしてしまえばシード獲得に必要なポイントは得られない。

 前述のノーザントラストオープンから遡ること3週前、今季最初の試合となった1月ヒュマナチャレンジで、ラウンド後に練習場に向かった石川はこぼした。オフに取り組んできた課題にバックスイングのリズム作りといったポイントがあったが、その出来を問うと「全然できてない」とバッサリ切り捨てた。

「普段の練習場でできたことが10だとしたら、練習ラウンドになると7になる。それが試合の朝の練習場では5になって、実際にスタートすると3くらい」

「急がば、回るな」をテーマにここまできた。

 15歳でツアーに飛び込み、高校2年生から年を追うごとに、プロの試合に出続けるのが当たり前になった。世界中のゴルファーとはやはり一線を画すキャリア。そこには何度か“大人の事情”といった不可抗力も働いただろう。とにかく試合に出て、成功体験を積み重ねることを、よしとしてきた。

 練習でできたことも、試合で表現できなければ意味がない。練習の成果を確かめるために、目の前の試合に出続ける。石川はこれまでそうやって「急がば、回るな」をテーマにやってきた。欠場で得られるものの大きさを頭では理解していても……。そんなジレンマが浮かびあがってくる。

 ゴルフは、試合経験の数が必ずしも有利に働くとは限らない競技だ。時に舞台裏で稽古を重ねるために欠場する勇気も、評価される世界だ。現在、石川はシード権をキープしている。世界中のプロゴルファーが羨むそのツアーカードには、出場する権利同様、欠場する権利も含まれている。

 ゲームに飢え、心の底から湧きあがるハングリー精神をさらけ出す。溌剌と、コース攻略に全身全霊を傾ける石川遼を見たい。

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