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Jとブンデスで監督人事の新潮流。
“自前の監督”は、早くて安い!?
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/03/02 10:30
今年、柏レイソルの監督に就任した吉田達磨は、1993~1996年に柏でプレー。その後、京都パープルサンガ、モンテディオ山形、ジュロンFC(シンガポール)を経て、柏に戻りユースの監督を務めていた。
リーグの3分の1が「自前監督」のブンデス。
現在ブンデスリーガには、下部組織から「直接」引き上げられた監督が5人、「間接的」に引き上げられた監督が1人いる。
直接引き上げられたのは、ヘルタ・ベルリンのダーダイ(U-15監督から昇格)、マインツのシュミット(U-23監督から昇格)、ハンブルガーSVのツィンバウアー(U-23監督から昇格)、ブレーメンのスクリプニク(U-23監督から昇格)、フライブルクのシュトライヒ(U-19監督から昇格。途中からトップチームのコーチを兼任していた)。
間接的に引き上げられたのは、ホッフェンハイムのギズドル(ホッフェンハイムのU-23監督を務め、その後シャルケのコーチを務めていた)だ。
すべて合わせれば、リーグの3分の1(18チーム中6チーム)が「自前監督」を雇っていることになる。
それを後押ししているのが、年俸の安さだ。
生え抜き監督トレンドを後押しする、4つの理由とは?
WEBサイト『Fussball-Geld.de』によれば、スクリプニクの年俸は25万ユーロ(約3250万円)、シュトライヒは50万ユーロ(約6500万円)、ツィンバウアーとギズドル80万ユーロ(約1億400万円)となっている(金額はいずれも推定)。
このリストに載っていない監督をビルト紙の情報で補うと、ダーダイは10万ユーロ(約1300万円)、シュミットは80万ユーロだ。
グアルディオラの年俸1500~1700万ユーロ(約19億5000万~22億1000万円)は別格だとしても、ディマッテオの250万ユーロ(約3億2500万円)やヘキンクの180万ユーロ(約2億3400万円)に比べて実にリーズナブルである。
就任間もないダーダイとシュミットはまだ未知数で、ツィンバウアーはハンブルガーSVを復調させられていないが、他の3人は安定した成績を残している。特に昨年10月に就任したスクリプニクは、後期開幕から4連勝を飾って脅威のV字回復を果たした。
ドイツサッカー協会の監督ライセンス講座の責任者、フランク・ヴォルムートはビルト紙にこう解説した。
「このトレンドには4つの理由がある。1つ目は相互理解。クラブは監督の人間性をわかっており、逆に監督もクラブ文化をわかっている。2つ目は監督育成システムへの信頼。3つ目は年俸の安さ。そして4つ目はチーム作りに時間がかからないことだ」