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地方から日本サッカーと社会を変革!
FC今治オーナー就任、岡田武史の夢。
posted2015/02/28 10:45
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Toshio Ninomiya
アップル社を設立したスティーブ・ジョブズばりのプレゼンテーションだった。
2月23日、「リスタートカンファレンス」と銘打たれた四国リーグに所属するFC今治の新体制発表会見。愛媛県にある人口17万の町、今治市に多くのメディアが詰めかけた。
新スタッフとしてU-17日本代表を率いて2度U-17W杯を戦った吉武博文、日本代表コーチ、ヴァンフォーレ甲府監督、京都サンガ監督などを歴任した大木武らが登壇し、スポンサーには「EXILE(エグザイル)」ら人気グループを抱える株式会社「LDH」などが紹介された。地元愛媛出身でEXILEのメンバー白濱亜嵐が応援に駆けつけるという華々しい会見で、1人で司会進行役を務め、プレゼンを行なったのが元日本代表監督の岡田武史新オーナーである。
現場から経営者へ。
今年で59歳を迎える彼は、身振り手振りを交えながら熱っぽく語っていく。日本サッカーの新機軸と、地方のサッカークラブが生き残るための方向性を打ち出していく彼の新たなチャレンジとは――。
スペインにあるサッカーの「型」とは?
「日本人に合った世界に通用する岡田メソッドという型をつくろうと決めました」
岡田は会見の冒頭、高らかに宣言した。
きっかけはこうだ。
「昨年のブラジルW杯のとき、サッカー仲間で日本サッカーはどうあるべきか、いろんな議論をしました。とあるスペイン人のコーチと話をした際に『スペインにはプレーモデルというサッカーの型があるけど、日本にはないのか』と聞かれたんです。(日本では)型にはめない指導の成果として、サッカーが急激に進歩したというところがある。ところが日本の上を行くスペインには型があるという。よく聞けば型にはめる型ではなく、共通認識のようなもの。たとえばボールを持って相手にプレッシャーをかけられた場合、一番近いエリアにいる味方の選手はどうすべきか、セカンドエリア、サードエリアの選手はどう動くべきか。そういう型を持っている、と。
型があるからこそ、それを打ち破ろうとする驚くような発想も出てくるんじゃないか。(型がなくて)自由を与えたほうが、逆に自由な発想は出にくくなるんじゃないか。そういう思いに至ったから、同じ型を使ってトップから育成すべて、同じ哲学、同じプレースタイルのクラブをつくってみたいと思ったんです」