フットボール“新語録”BACK NUMBER
ネグレドが日本代表に警鐘を鳴らす、
ポゼッション重視の致命的なリスク。
posted2015/02/18 10:30
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Getty Images
「日本代表には、高い位置でボールを奪い返す能力があるのかな?」
アルバロ・ネグレド(バレンシア)
日本代表はポゼッションを突き詰めるべきか。それともカウンターに転換すべきか――。
アジアカップの早期敗退を受けて、多くの人の頭をよぎったテーマではないだろうか。
大雑把に言い換えれば、自分たちが主導権を握って戦うか、相手に主導権を渡して戦うか、ということである。
当然、サッカーは二元論で語れるほど単純ではなく、どんなチームでも流れの中でポゼッションとカウンターの両方のシーンが生まれる。どちらも高いレベルでできなければならないのは間違いない。ただ、指標を持っておくことでメッセージがシンプルになり、コンセプトが共有しやすくなるため、一般的に用いられているのだろう。
ポゼッションを突き詰めた日本は、アジアカップで敗れた。
アジアカップにおける日本は、前者だった。
PK戦の末に敗れたUAE戦では支配率が68%を記録し、120分間でシュートを35本も放った。相手を敵陣に押し込み、ペナルティエリアの中でフリーでシュートを打つ場面を何度も作った。これだけのスタッツを残して、1点しか奪えなかったのはある意味奇跡である。
このチームの方向性は、ザッケローニ監督から引き継いだものだった。ザックは選手たちの意を汲んで、主導権を握るサッカーを目指した。イメージに齟齬が生まれて完成にはほど遠かったが、ブラジルW杯の敗退が決まった翌日に「このサッカーを継続してほしい」と次の監督にバトンを託した。
後任のアギーレ監督はリアリストであり、おそらく相手に応じて臨機応変に主導権を持ったり渡したりする考えがあったと思われる。だが、結果重視でザック時代の主力を組み合わせ、彼らに自由を与えたことで、ザック路線にさらにアクセルが踏まれることになった。
ただし、くどいようだがサッカーに正解はない。では果たして、日本のこの挑戦的な姿勢は、他国のサッカー関係者の目にどう映るのだろうか?