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手倉森U-22がシンガポールに8-1。
「格下に圧勝」だけじゃない成長度。
posted2015/02/17 11:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
AFLO
極論すれば、勝つのは当然だった。
どうやって勝つのかが、問われた一戦だった。
U-22日本代表が2月14日に敵地で臨んだ、U-23シンガポール代表とのテストマッチである。
とはいえ簡単な試合ではなかった。U-23シンガポール代表は、トルコでのキャンプを含めて1カ月ほど活動をしてきた。人工芝のジャラン・ベシャール・スタジアムにも、当然のことながら慣れている。
対するU-22日本は、昨年12月以来の集合。18人のメンバーは国内組で編成されており、それぞれの所属クラブでコンディションを高めている段階だ。ゲーム勘もゲーム体力も、シーズン中のレベルには達していない。手倉森誠監督の手応えは「70パーセントくらいの状態」で、「クラブによっては、まだ45分しかゲームをやっていない選手もいる。そこから90分フルにやるのは、人工芝のピッチを考えても難しい」というものだった。さらに3月下旬にマレーシアで行われるU-23選手権(リオ五輪1次予選)へ向けて、暑さに身体を慣らすことも大切な目的である。
そうした状況下で指揮官が求めたのは「いままでやってきたことが、どれぐらい身体に残っているのか」であり、「いまのコンディションで何ができるのか」だった。前者は結成から1年が経過したチームの習熟度を、後者は選手たちに強調してきた「コントロール力」を問うものだった。
難しい立ち上がりを、最高の形で入った日本。
果たしてU-22日本は、試合開始から指揮官を唸らせる。開始10分、右サイドバック松原健(アルビレックス新潟)の縦パスから、トップ下で起用された中島翔哉(FC東京)が先制の左足ボレーを突き刺したのだ。22分には豊川雄太(鹿島アントラーズ)のスルーパスに中島が反応し、ペナルティエリア右から逆サイドネットへ突き刺す。
「試合の入りはすごく意識していたので、そこで1点取れて、さらに追加点が取れたのは良かったと思います」
こう話したのは遠藤航(湘南ベルマーレ)である。