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ネグレドが日本代表に警鐘を鳴らす、
ポゼッション重視の致命的なリスク。 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byGetty Images

posted2015/02/18 10:30

ネグレドが日本代表に警鐘を鳴らす、ポゼッション重視の致命的なリスク。<Number Web> photograph by Getty Images

ネグレドは昨年9月にマンチェスター・シティからバレンシアにレンタル移籍となった。背番号を長年つけていた9番から7番に変え、心機一転をはかる。今季は2ゴールをあげている。

スペイン代表FWが考える、カウンター論。

 2月4日にロンドンで行なわれた「ニューバランス・フットボール」の立ち上げ会見において、スペイン代表のネグレドにインタビューする機会を得た。

 ネグレドはセビージャやマンチェスター・シティでFWとして活躍し、今季はバレンシアにレンタルされている。スペイン代表としてもユーロ2012に出場して優勝メンバーとなったが、2014年W杯はメンバーから落選した。

 このテーマを訊くのに最適な人物かはわからないが、“ポゼッションの本家”スペイン代表選手の意見として参考になるはずだ。

 ポゼッションとカウンターのどちらが好きか? そう訊くと、186cmのストライカーはこう答えた。

「ポゼッションも好きだけど、自分はカウンターの方がより好きだね」

 スペイン代表はポゼッション重視なのでは? と返すと、ネグレドはひげ面を横に振った。

「いや、それは先入観にすぎない。確かにバルセロナは『ティキ・タカ』でプレーしている。だがレアル・マドリーも、アトレティコも、バレンシアもみんなカウンターだ。『ティキ・タカ』をできるのはバルセロナだけだ」

 ネグレドはカウンター論をさらに掘り下げた。

「もちろんカウンターと言っても、レアルとバレンシアでは違いがある。レアルには超一流のスピードを持つ選手がそろっており、だからカウンターのときにピッチをより深くまで使える。相手が追いつけないから、時間をかけて攻撃できるんだ。一方バレンシアの場合、スピードが限られているので、よりコンビネーションが大事になる。早い段階でシュートまで持っていかなければならない」

「『ティキ・タカ』のリスクをわかっているのかな?」

 日本がポゼッション志向であることを伝えると、ネグレドは少し驚いた表情をした。

「日本は『ティキ・タカ』をやるリスクをわかっているのかな。たくさんの選手が相手陣内に攻め込んでボールを失ったら、一気にカウンターで自分たちのゴール前に迫られてしまう。とても危険だ」

 そして、こう強調した。

「『ティキ・タカ』をやるには、ボールを失った瞬間に、それを奪い返す守備力が必要なんだ。はたして日本にはそれがあるのかな?」

 答えはノーである。返す言葉がなかった。

【次ページ】 「ボールを失った瞬間のプレス」のメソッドを。

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アルバロ・ネグレド
バレンシア

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