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マンUよりも実は失点が多いマンC。
大黒柱コンパニへの依存と葛藤。 

text by

山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byTomoki Momozono

posted2015/02/07 10:50

マンUよりも実は失点が多いマンC。大黒柱コンパニへの依存と葛藤。<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

2011-12シーズンにはマンチェスター・シティの44シーズンぶりの優勝に大きく貢献したバンサン・コンパニ。世界最高のCBの一角と言われる実力を取り戻すことができるか。

消極的なプレーに見えた、コンパニが抱える迷い。

 失点シーンで、左サイドからの折り返しに合わせたロイク・レミと競っていたのはコンパニだった。テレビ解説を務めていたジェイミー・レドナップは「オウンゴールを恐れて足を出さなかった」とコンパニを非難した。たしかに、スライディングした足は伸びきっておらず、触ろうと思えばボールに触れたようにも見えた。だが、ゴール至近距離の中央で真正面からボールに滑り込む格好だったことを考えれば、クリア失敗でオウンゴールという危険性は高く、初めはコンパニを責めるのは酷だと思われた。

 しかし、コンパニというDFの特長を考えてみれば、失敗など恐れずに足を伸ばすのが“本来の”プレーであるはず。機動力を武器に、果敢なラインブレイクに代表されるように全力で相手選手とボールに向かうのがコンパニのスタイルだからだ。そのコンパニが、クリアできなければ失点確実という場面で足を伸ばすことを躊躇ったのだとすれば、心の中に迷いが生じるほど調子の悪さを意識しているということになる。

能動的に守るタイプのDFは、リズム感が大切。

 コンパニのように能動的に守るタイプのDFは、ジョン・テリーなどのようにどっしり構えて守るタイプとは違い、体が自然に動くようなリズム感を取り戻すまでに時間が掛かるのは事実だろう。ピッチを離れている間に失ったものは、ピッチに戻って取り戻すしかないが、屈強な外見に似合わず故障の多いコンパニはいまだそれができずにいる。怪我が完全には治っていないのでは? また怪我をするのでは? 現在のコンパニは、そういった不安を抱えながらピッチに立っているのではないだろうか?

 怪我の多さは今に始まったことではない。6年半前にハンブルガーSVから移籍してきた当時のコンパニには、「ガラスの男」というニックネームが付けられていた。以後、ジムで流した汗の結晶として体の厚みは増したが、筋肉系の怪我は後を絶たなかった。軽く調べただけでも、いわゆる「違和感」を含む筋肉系の問題で戦列を離れたケースは20件を越える。

【次ページ】 入念なケアを施しても、故障がちな状況は変わらず。

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