プレミアリーグの時間BACK NUMBER
マンUよりも実は失点が多いマンC。
大黒柱コンパニへの依存と葛藤。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byTomoki Momozono
posted2015/02/07 10:50
2011-12シーズンにはマンチェスター・シティの44シーズンぶりの優勝に大きく貢献したバンサン・コンパニ。世界最高のCBの一角と言われる実力を取り戻すことができるか。
入念なケアを施しても、故障がちな状況は変わらず。
今季のコンパニは、昨年12月上旬にかけても、ハムストリングを痛めて半月ほどピッチを離れていた。11月末のサウサンプトン戦(3-0)、3点目のゴールを祝うチームメイトの輪に加わろうとして走った直後、太腿の裏側を抑えながらピッチを去ることを余儀なくされた本人はショックだっただろう。脹脛の怪我から復帰して3試合目の出来事でもあった。
筋肉系の怪我は完治の判断が難しいと言われるが、戦う意欲も責任感も人一倍のマンCキャプテンは、欠場を繰り返している焦りも手伝って、戦線復帰を早まっているように思えてならない。
試合前のウォームアップを見ても、コンパニは周りの選手に比べて明らかに入念にストレッチを行なっている。それでも故障を繰り返す状況は変わらず、怪我の多さに関しては「根本的な原因が分からない」とペジェグリーニもお手上げの状態だ。
コンパニの長期休養を許さない、チームのCB事情。
指揮官にすれば、復帰まで十分な時間を与えられないチーム事情も悩ましいところだろう。今季のマンCで最も出場試合数が多いCBは、34歳のマルティン・デミチェリス。昨季途中から目に見えてミスが減っている点は、ベテランの意地と努力を褒めるしかないが、スピードの乏しさは如何ともし難いうえに、ラインの統率力もコンパニには及ばない。
3番手扱いのエリアキム・マンガラは、23歳の若さとプレミア1年目の経験の浅さが、一貫性に欠けるパフォーマンスとなって表れる。攻撃的なチームの後方には、28歳と年齢的に脂も乗っているコンパニという「安心感」が必要なのだ。
今季にしても、コンパニらしいプレーができている試合では、欧州屈指のCBと呼ばれるに相応しいパフォーマンスを見せている。例えば、第5節での今季1度目のチェルシー戦(1-1)。コンパニは、プレミア初先発だったマンガラをパートナーに従えながら、開幕4戦で7得点を上げていたジエゴ・コスタにチャンスらしいチャンスを与えなかった。
慎重に慎重を重ねてコンパニを戦線に復帰させるだけの余裕がチームにないとすれば、あとは故障明けの本人が、がむしゃらになり過ぎないように意識してピッチ上での時間を重ねることで、怪我の不安を減らすと同時に自信を取り戻していくしかない。