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大学生がプレミアのクラブで研修!
面接突破の最大の要因は「旅行」? 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2014/11/27 16:30

大学生がプレミアのクラブで研修!面接突破の最大の要因は「旅行」?<Number Web> photograph by Shinya Kizaki

エバートンでは育成年代からGPSをつけて走行距離・スプリント数・速度・心拍数をモニタリングするなど、さまざまなデータを集めてシステマティックに分析している。

中村の追い風になった「EPPP」という制度。

 中村にとって幸運だったのは、ここ最近、プレミアリーグのクラブが採用するインターンの人数を増やしていることだった。プレミアリーグは自国選手の育成が遅れていることに危機感を持ち、2011年、「EPPP」(イー・トリプルピー)と呼ばれる育成ガイドラインをクラブに採択させた。

 簡単に言えばクラブライセンスのようなもので、満たさなければいけない項目がたくさんある。自ずと各クラブは人手不足に陥った。

 その要員としてサッカー科学専攻の学生ほどふさわしい人材はいないだろう。資金に乏しいエバートンにとっては、人件費を抑えられるメリットもある。今夏、エバートンは9人のインターンを採用した。

面接はなぜか旅行の話で盛り上がり、合格。

 ただし、そうは言っても狭き門であることは間違いない。今エバートンにいる日本人は、中村のみだ。

 インターン採用のプロセスで、最も難しいのは面接である。実は昨年も日本人が受けたものの、面接で落とされてしまった。中村はどうやって面接を突破したのだろう?

「面接官にまず言われたのが『自分を売り込んでください』ということでした。僕は『オーストラリアとカナダに住んだ経験がある。だから順応力があります』とアピールしました。そうしたら、なぜか旅行の話で盛り上がって(笑)。すると最後に『100%で取り組めるか?』と言われ、合格が決まったんです」

 海外旅行は、イングランド人にとっても憧れの行為だ。自分がしていない経験をしている者に、人はリスペクトを覚える。オーストラリアへの留学、カナダでのワーキングホリデー、すべてが無駄ではなかった。

 今、中村は週2回のペースで、エバートンの育成アカデミーで働いている。

「僕の仕事は、主に9歳から18歳の選手のサポート。特に16歳から18歳の選手は奨学金を受けているので、午前中から練習する。僕は朝8時くらいから準備します。選手はまず練習場に来ると、脱水症状がないかを調べるために尿検査をするんですが、僕たちが容器を渡し、検査してデータベースに記録する。あとはフィジカルメニューを指導したり、ジムでトレーニングの補助をしたり。これについてもEPPPの規定に従って、誰が指導したかをデータベースに打ち込みます」

【次ページ】 ドイツに触発され、イングランドが本気の改革に。

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