サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
帰ってきた「キャプテンと司令塔」。
長谷部と遠藤はやはり不動なのか?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2014/11/15 11:30
久々の代表復帰ながら、圧倒的な存在感で中盤を制圧し、チームに活力を取り戻した長谷部誠と遠藤保仁。ベテランの活躍は心強いが、若手が彼らの席を脅かさなければならない。
高い位置でテンポと連係を生み出した遠藤保仁。
そしてインサイドハーフに入った遠藤。アギーレジャパン初招集で、かつ指揮官もメキシコでの式典出席でチームを離れたとあって、監督から直接指導を受けたのは昨日だけ。つまりアドリブに近かったと思われる。だがそれを見事にこなしてみせた。
左の香川とポジションを入れ替えながらも高い位置をキープし、相手の間にスッと入っては味方からパスを受け、前にショートパス、ミドルパスでつなぐ。またあるときはキープして味方が上がる時間をつくる。テンポと落ち着きをチームにもたらしていた。
下がって受けるのではなく、あくまで前にポジションを取ることで相手をけん制するとともに、前線との連係をスムーズにした。前半44分に決めたミドルシュートも「前の意識」の効果だろう。
乾が奪った後半2分のゴールシーンは、低い位置で始まったカウンター。乾、岡崎慎司を経由して受けたボールを遠藤が右の本田につなげて得点を導いている。「前線のつなぎ役」としての働きも大きかった。
守備に回る際、チームは4-1-4-1になり、遠藤は香川とともに2列目の「4」の中央に並ぶ。そこからどう網にかけていくかは課題があるにせよ、初陣と考えれば長谷部同様に高い順応力を見せたと言えるのではあるまいか。
アギーレも、会見で2人をこう評価している。
「長谷部と遠藤がプレーすることで、中盤は自信を持ってプレーできていた。彼らは経験が豊富で、いかに仕事をすればいいかが分かっている。彼らと(香川)真司で、非常にテンポ良くゲームができた」
若い選手は、何を感じたのか。
アギーレジャパンになって初めて結果と内容が伴った試合となった。しかしこの日のホンジュラスは“参考外”と言える状態でもあり、手放しで喜ぶわけにもいかない。それに4年間積み上げてきたザックジャパンのメンバーがそろったのであれば、彼らの力量を考えれば6-0というスコアも格段、驚くことでもない。
むしろ大切になってくるのは、武藤をはじめ若い選手たちが何を感じ、今後どう活かしていけるか、ベテランの長谷部、遠藤たちをどう押しのけていけるか。ここに競争が生じないと、3年半後のロシアW杯に向けてチームそのものに力がついていかない。