サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
帰ってきた「キャプテンと司令塔」。
長谷部と遠藤はやはり不動なのか?
posted2014/11/15 11:30
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Takuya Sugiyama
冬の到来を感じさせる冷気が不思議と気にならない。
いつもとは違う夜だった。大差になろうとも気を緩めない。6点のスコアに満足することなく、最後まで7点目を熱く狙いにいっていた。本田圭佑も、香川真司も。
ふと前監督のアルベルト・ザッケローニがちょっと不服そうな表情を浮かべて口にした言葉を思い出した。
「いくら点差を離そうとも、それで満足してはいけない」
スコアを重ねると次第にペースを落としてしまう試合をこれまでも見てきた。だが、この日は時間帯によってギアを1速、2速に落とすのはあったとしても、90分間通してチャンスと見ればトップギアにグッと入る。ペースを落とすことなく、骨のないホンジュラスに3-0、4-0じゃ納得しない彼らがそこにはいた。
先発は武藤以外、ブラジルW杯メンバー。
貪欲、集中、躍動。
いくつかの要素が入り混じっていたとは思う。まず、ブラジルW杯以来の試合となった長谷部誠、遠藤保仁、内田篤人たちが代表に戻ってチームを活性化させたこと。代表でプレーする使命感、悦びをあらためて感じているようにも映った。
そしてW杯メンバーに入れなかった乾貴士、豊田陽平たちの意地。また、前回0-4と大敗したブラジル戦からの巻き返しを図ろうとした森重真人らアギーレジャパンの常連たちの決意……。代表から離れてメキシコで行なわれた殿堂入りの式典に出席したハビエル・アギーレにしても、低調な試合で終わってしまえばより厳しい目を向けられる可能性もあった。
先発は武藤嘉紀以外、ブラジルW杯メンバー。指揮官は試合前のミーティングでこう言ったという。
「きょうは経験のある選手たちが試合に出る。失点につながるようなミスは許さない」
使命感、危機感。
あらゆる要素が一つにまとまって力を生み出していた。