テレビじゃやらないスポーツの話BACK NUMBER
女子ゴルフがバブル期を超える好況!
なぜ試合&ギャラリーが増えるのか。
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph byAFLO
posted2014/11/06 10:40
勝みなみは鹿児島高校在学中の16歳。最年少記録を次々と打ち立てている彼女だが、さらに下の世代が力をつけ、その座を虎視眈々と狙っている。
好循環を支える、選手への「教育」とは。
女子の場合、高校生以下のジュニア層の競技人口が増えている中で、勝や永井のように、祖父や父親の指導でゴルフを始めた選手が、ほとんど独学で日本のトップレベルまで躍進して、新たな注目選手になっている。本当の意味での選手層の厚さというものが、いまの日本の女子ゴルフにはあるということだ。
スポンサーがついて試合数が増える、また試合に訪れるギャラリーも増えている。その両方に影響を与えていると思われるのが、日本女子プロゴルフ協会による、新人選手、およびプロ2年目の選手に対する教育である。
毎年3日間にわたって、ゴルフのルールやドーピング規定、税金といったプロ選手としての基礎知識だけでなく、「魅力的なゴルファーになるための演出術」と題して、外部から専門家を招いて敬語の使い方や礼儀作法、前夜祭などにおけるレセプションマナーといった、プロ生活の中でかかわることになる、スポンサー企業の重役や、メディア、ギャラリーなどさまざまな関係者との接し方について、セミナーを行なっているのである。
新人研修はプロ野球やJリーグでも行われているが、日本女子プロゴルフ協会の研修は、まだ試合経験の少ない新人選手と、ある程度経験を積んだ2年目の選手、それぞれに経験に応じた内容のセミナーを組んでいるところに特徴がある。
こうした教育の積み重ねの中から育った選手たちが、スポンサー企業やギャラリーから、好感をもって受けとめられ、現在の女子ゴルフの人気を築き上げている面は、間違いなくあるように思う。
その意味で、プロスポーツに限らず、現在の日本のスポーツ界において、人気の向上を図りたい団体にとって、女子ゴルフに学べるところは、いろいろあるように思える。