テレビじゃやらないスポーツの話BACK NUMBER
女子ゴルフがバブル期を超える好況!
なぜ試合&ギャラリーが増えるのか。
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph byAFLO
posted2014/11/06 10:40
勝みなみは鹿児島高校在学中の16歳。最年少記録を次々と打ち立てている彼女だが、さらに下の世代が力をつけ、その座を虎視眈々と狙っている。
男子ゴルフほど、米ツアーとの差もない。
賞金王の金額を日米で比較して見ても、その成功の度合いが分かる。男子ゴルフの賞金王の獲得金額は昨季、米ツアーがローリー・マキロイの約8億2800万円、日本ツアーの松山英樹は約1億5586万円(国内試合の金額のみ)だったから、米ツアーは、日本ツアーの約5.3倍である(昨年の平均的な為替レート、1ドル=100円で換算)。
これに対して女子ゴルフのほうは、昨年の米ツアーの女王・朴仁妃が約2億4566万円で、日本ツアーの女王・森田理香子は約1億2668万円だから約1.9倍だ。
日本プロ野球と米大リーグの最高年俸は約5倍の開きがあることを考えると、女子ゴルフは日本のプロスポーツの中で、金銭的な面でも世界最高峰に最も近い団体だと言っていいだろう。
10代のアマチュア選手の活躍がギャラリー増に貢献?
こうした経済的な発展だけでなく、試合会場に足を運ぶギャラリーの数においても、女子ゴルフは上昇曲線を描いている。37試合中33試合が終了した11月3日現在、今年のギャラリー数は合計47万5347人。これは昨年の同じ時点を3万1720人も上回っている。今年のツアーの状況を考えると、非常に意味がある増加だ。
なぜかというと、最終戦まで森田理香子と横峯さくらが賞金女王争いをした昨年に比べると、今年はアン・ソンジュ、イ・ボミ、申ジエの韓国勢が賞金ランキングの上位3人を占めていて、日本選手の最上位は成田美寿々の4位。首位のアン・ソンジュとは約5700万円の大差をつけられており、残り試合で逆転できる可能性はほとんどなくなっているのである。
昨年は年間で日本選手が23勝、外国勢が13勝だったが、今年は現在、日本選手が15勝、外国勢が18勝。常識的に考えれば、日本のギャラリーが集まりやすい状況とは言えない。
だが、それでも昨年を上回っているということは、今年の女子ゴルフの人気は、日本選手が優勝するかどうかに左右されていないということだ。
今年のギャラリー数増加の背景に、10代のアマチュア選手たちの活躍があることは間違いない。4月のKKT杯バンテリンレディスオープンで、女子の日本ツアー史上最年少となる15歳293日で優勝した勝みなみ、10月のメジャー大会、日本女子オープンで日本選手最高位の3位になった17歳の永井花奈。こういった選手たちが、プロのスター選手と肩を並べる注目を集め、ギャラリーの関心の的になっている。