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長い渇きと新星の台頭。
~伏兵多きMLBポストシーズン~ 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2014/10/04 10:50

長い渇きと新星の台頭。~伏兵多きMLBポストシーズン~<Number Web> photograph by Getty Images

レギュラーシーズンの9月は主に2番で出場し、87打数33安打、打率3割7分9厘と打ちまくった青木宣親。

地区優勝6球団中、5チームが「お久しぶり」。

 地区優勝を手にした6球団では、5チームが「お久しぶり」の匂いを放っている。

 ア・リーグ東地区のオリオールズは、'83年以来ワールドシリーズを経験していない。

 中地区のタイガースは、このところポストシーズンの常連だが、ワールドシリーズを制したのは'84年が最後だ。

 西地区のエンジェルスも、21世紀に入って7度目のポストシーズン進出だが、最後のワールドシリーズ制覇は2002年だ。空白は思いのほか長い。

 一方のナ・リーグも、中地区覇者のカーディナルス('06年と'11年にワールドシリーズ王者)とワイルドカードのジャイアンツ('10年と'12年にワールドシリーズ制覇)以外は「ご無沙汰感」が濃い。

 西地区のドジャースは、'88年を最後にワールドシリーズ制覇から遠ざかっている。東地区のナショナルズなどは、'05年にワシントンDCへ移転してきて以来、ポストシーズンに進出するのはようやく2度目だし、前身のモントリオール・エクスポズがNLCSに進出したのも1981年の出来事だ。さらにいうと、ワシントンDCを本拠地としたセネタース(のちのミネソタ・ツインズ)がワールドシリーズに優勝したのは1924年という遠い昔にまでさかのぼる。

100勝チームが皆無だったシーズンを象徴する混戦。

 ヤンキースやレッドソックスやブレーヴスといったポストシーズン常連球団が出てこないと、こういう現象が発生する。まあ当然の話で、100勝チームが皆無だったシーズンを象徴しているともいえそうだ。それでも、この混戦状態はけっこう楽しめる。

 たとえば、ア・リーグ優勝候補筆頭のエンジェルスには、コール・カルフーン(外野手)やマット・シューメイカー(先発投手)といった新顔がいる。カルフーン26歳、シューメイカー28歳という遅咲きだが、マイク・トラウト、アルバート・プーホルス、ジェレッド・ウィーヴァーといった主力の安定を支えたのが、彼ら新顔の活躍だった。

【次ページ】 基本の構図は投高打低と、西高東低。

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青木宣親
カンザスシティ・ロイヤルズ

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