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アギーレの練習に感じる一抹の不安。
バルサ式&サイド偏重は両立するか。 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byYusuke Nakanishi/AFLO

posted2014/09/12 10:30

アギーレの練習に感じる一抹の不安。バルサ式&サイド偏重は両立するか。<Number Web> photograph by Yusuke Nakanishi/AFLO

札幌の公開練習で戦術を確認する際には、アギーレが積極的に指示を出すシーンが見られた。特にDFラインから前線に長いパスを出す練習を繰り返していた。

全体の設計図を示すのは、やはりアギーレ監督。

 だが、やはり戦術を決めるのは監督だ。イリバレンが任されているのは、あくまで細部となるパーツ作りにすぎない。全体の設計図を選手に示す段階になると、ついにアギーレが指揮を取り始める。

 ベネズエラ戦の2日前、アギーレは選手たちを4-3-3の陣形に並べた。そしてDFラインから左右のFW(柿谷曜一朗と本田圭佑)、もしくはセンターFW(大迫勇也)に縦パスを出させ、シュートまで持って行く練習を行なった。

 オーソドックスなサイド攻撃のパターン練習だ。ボールの動きはサイドに限定されており、MFの柴崎岳や細貝萌がボールを触るのはFWがボールを落としたときのみである。

 前任者のザッケローニ監督も、サイド攻撃のパターン練習が多かったが、あえて違いを言えば、アギーレ監督はロングボールもメニューに組み込んでいることだ。岡崎慎司はセンターFWとして出場したベネズエラ戦後、「裏に抜ける動きをDFたちが見てくれて、長いパスが出てくるようになった。それが今までと違うところ」と変化を歓迎した。

 ちなみに試合中、ベンチでアギーレの横にすわるのはイリバレンではなく、イングランド人コーチのスチュアート・ゲリングだ。ウルグアイ戦とベネズエラ戦では、ゲリングがメモを片手に監督に助言するシーンが何度も見られた。イリバレンはプロ選手経験はないため、ゲームを読むということに関しては、リバプールでプレーしたゲリングを参謀にしているのだろう。

イリバレンとアギーレのコンセプトはぶつからないか?

 以上が“チーム・アギーレ”の役割分担なのだが、個人的に一抹の不安がある。それはイリバレンのモダンなコンセプトと、アギーレの古典的なコンセプトがはたして融合できるのか……ということだ。

 すでに書いたように、イリバレンの練習のコンセプトはグアルディオラに近い。攻撃を特定のパターンに依存するのではなく、選手の技術と発想によって自在に変化する。

 ところが、アギーレが指揮を取った瞬間、時計の針が巻き戻る。攻撃はサイドに偏り、パターンが繰り返される。相手に読まれやすく、これでは速攻では崩せても、遅攻では崩しづらい。

【次ページ】 多彩な引き出しか、中途半端か。

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