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アギーレの練習に感じる一抹の不安。
バルサ式&サイド偏重は両立するか。 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byYusuke Nakanishi/AFLO

posted2014/09/12 10:30

アギーレの練習に感じる一抹の不安。バルサ式&サイド偏重は両立するか。<Number Web> photograph by Yusuke Nakanishi/AFLO

札幌の公開練習で戦術を確認する際には、アギーレが積極的に指示を出すシーンが見られた。特にDFラインから前線に長いパスを出す練習を繰り返していた。

グアルディオラも好むパス回しの練習法。

 特徴としては、このときに基本技術の反復練習を行なうこと。たとえば前から来たボールを反転しながらトラップし、後方の選手にパスするといったメニューだ(ボランチがDFからパスを受け、反転してトップ下にパスをするイメージである)。シャビが得意なプレーで、日本代表では柿谷曜一朗がずば抜けてうまかった。イリバレンの練習は、個人の技量がより明確になる。

 このウォーミングアップ兼技術練習が終わると、次はペナルティエリア脇の長方形のスペース(約16m×14m)を利用したパスまわしだ。長方形の4辺の上に1人ずつ選手を立たせ、内側に敵役3人と味方1人(もしくは2人)を入れる。ゴールは置かないが、攻撃の方向を定めて、何となく攻める方向を意識させる。外側の選手が動けるのは各辺の上のみ。選手名を書くと次のような感じだ。

__________________酒井高徳_____
|                                     |
|                                   |
 坂井     柴崎    皆川
|                                      |
|______松原______|

 イリバレンは止まることを知らないコーチで、エネルギッシュに次々に指示を与えて行く。

「パスを出したら、ボールを受けた選手をサポートしよう!」

「ダイレクトでパスを出せないときは、方向を考えてトラップして、うまくプレッシャーから逃れよう」

 実はこれはグアルディオラが好んで用いるメニューのひとつで、バイエルンでも毎日のように行なっている。中央のエリアの密集地帯を抜ける感覚が身につき、バルサ的サッカーを目指すには絶好のメニューだ。

 この間、アギーレは腕を組んでじっと選手たちを観察しているだけで、声を出すことはほとんどない。ここだけ見たら、イリバレンが戦術を決めるのかな? と勘違いしそうになる。

【次ページ】 全体の設計図を示すのは、やはりアギーレ監督。

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