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<W杯開幕戦主審の視点>
西村雄一「世界はミスを恐れていない」
text by

田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byAtsushi Hashimoto
posted2014/09/12 11:00

W杯の激闘を、最も近くで見たのが審判だ。ブラジル大会で開幕戦を裁いた男は、世界と日本の違いをどう捉えているのか。
W杯ブラジル大会から何を学ぶべきか。
選手、監督、OB、解説者等の「サッカー関係者」が、意欲的な発言を続けている。
しかしサッカーには、もう一人のキーマンが存在する。試合を裁く審判である。2大会連続で重責を担った西村雄一氏が、レフェリーだけに見える「世界」を語る。
――西村さんは南アフリカ大会でも笛を吹かれています。今大会におけるサッカーの変化を、どう捉えていますか。
「7月の報告会でもお話ししたように、最初に挙げられるのはカウンターでしょうね。
私たち審判は、大会の10日ほど前に現地に集合してセミナーを行ないます。
一つ目の目的は、チームや選手と判定基準を共有して、大会を成功に導くこと。もう一つは90人から成る審判チームの中で、判断基準をできるだけ統一していくことです。
セミナーでは、カウンターが主流になるだろうという報告がありました。現にブラジルでは、カウンターを採用した多くのチームが結果を残しました。どのチームにも、素晴らしい選手が揃っていましたから」
――南ア大会の時には、セミナーでどのような報告がされていたのですか?
「パスサッカーの大会になると言われていました。当時はスペイン代表が結果を残していましたし、南アの海抜の高さを考えても、パスサッカーが主流になっていくだろうと」
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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