フットボール“新語録”BACK NUMBER
アギーレの練習に感じる一抹の不安。
バルサ式&サイド偏重は両立するか。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byYusuke Nakanishi/AFLO
posted2014/09/12 10:30
札幌の公開練習で戦術を確認する際には、アギーレが積極的に指示を出すシーンが見られた。特にDFラインから前線に長いパスを出す練習を繰り返していた。
多彩な引き出しか、中途半端か。
アギーレはベネズエラ戦後に「ある形を選手に与えるが、それを発展させるのは選手の自由だ」と語ったように、ヒントを示しているにすぎないという感覚なのだろう。いっぱい選択肢を与えるから、あとは自由に使い分けてくれ、と。
しかしコンセプトというのは、石にかじりつくように貫くことで、初めて完成品になるものではないだろうか。良さそうなアイデアを寄せ集めるだけでは、質の悪い模造品になりかねない。
もちろん最初の9日間を見たにすぎず、アギーレ監督が次なる手を用意しているのは間違いないが、現状を肯定的に捉えれば、多彩な引き出しを持ったフレキシブルなチームが生まれる可能性があるし、否定的に捉えれば、中途半端なチームができあがる恐れがある。メキシコ人監督の流儀が、日本代表にどんな変化をもたらすのか注意深く追っていきたい。