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W杯前の闘莉王の言葉が頭をよぎる。
本当の「日本のサッカー」とは何か?
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byGetty Images
posted2014/07/11 11:55
ザッケローニに率いられた4年間の冒険は、W杯のGL敗退で終わりを告げた。次期監督の人選でもパスサッカーの継続が条件としてあがっているが、「日本のサッカー」とは何なのかについて今こそ議論が必要だ。
日本人の本質を一から考え直す良い機会として。
「日本はスペインにはなれない。それは夢や目標を否定しているわけではなくて、現実。ギリシャが2004年のEUROで守り倒して優勝したけど、あれこそ現実を直視して、自分たちの良さを自然と発揮して戦った結果。本当にW杯優勝を目指すならば、最低限自分たち自身を見つめないといけない」(闘莉王)
今大会も自分たち自身をよく認識していたギリシャを、日本は崩せなかった。そして、決勝トーナメントに進出したのは日本ではなく、ギリシャだった。
サッカーは、その国の習慣や文化が色濃く反映される競技だと言われている。'98年にW杯に出場して以降、日本が追い求めてきた自分たちの形。それが何かを、今一度真剣に追求する必要がある。
体が小さいから、選手たちが望むから、というだけで「自分たちのサッカー」を決め付けてはいけないのではないだろうか。日本人が自然に、本能的にピッチで持てる力を発揮するためにも、自分たちの本質をもう一度見つめ直す必要がある。日本人の“耐える”能力をネガティブだと捉えてしまった今大会の日本のサッカーに、いまは違和感がある。