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コロンビア戦こそ、山口蛍が輝く!
不完全燃焼の払拭は「攻撃」にあり。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTakuya Sugiyama
posted2014/06/23 16:30
ギリシャ戦では引いた相手にたいして持ち味である積極的な守備が機能する場面も少なく、カバーリングに追われた山口蛍。しかし彼の守備力は、コロンビアという格上相手でこそ生きるはずだ。
ロンドン五輪を彷彿とさせたギリシャ戦の前半。
結果が出ず、個人的にも納得のいくプレーができなかった。それだけに、ギリシャ戦に賭ける思いは強かった。ギリシャに勝たなければ決勝トーナメント進出がさらに遠退いてしまう。かなりの危機感を抱いていたが、一方では冷静に「ギリシャ戦は初戦と異なり、攻撃もけっこうイケると思います」と、相手を分析した上で自らの良さを発揮できると踏んでいた。
そしてその通り、ギリシャ戦序盤は山口の良さが多分に発揮された。積極的な守備でボールホルダーを潰し、ボールを奪うと縦パスを前線に入れてチャンスを作った。攻守にダイナミックな動きが戻り、ピッチを走り回った。その躍動感はロンドン五輪で輝いた姿を彷彿とさせた。
「前半はいい感じでボールを奪えたし、攻撃ではサコ(大迫勇也)に縦パスを入れたり、散らしたり、いい感じでやれました」
山口はそんな前半を「楽しかった」と語っている。
相手が10人になったことで、仕事を失った。
だが、前半38分ギリシャに退場者が出て、4-4-1にシフトし、守備的な選手を入れてから状況が一変した。相手は、守備を固め、1点を取らせないように守備ブロックを敷き、中央を固めた。後半、長谷部誠に代わり遠藤保仁が入ると、「今野とうしろに残り、サイドバックが上がった後のケアをしろ」と指示された。
だが、ハーフコートマッチのような状況で、うしろにいる山口にすべきことはほとんどなかった。単純なクロスを入れては跳ね返され、攻め手を失いつつあった日本を、山口はただうしろで見ているしかなかったのだ。もしかしたら自己の判断で前にタイミング良く飛び出していけば、硬直した攻撃に何らかのアクセントをつけられたかもしれない。だが、山口はリスクマネジメントを優先し、その場に留まった。
「カウンターを受けた時、サイドに起点を作られたりしたんで、まずはそこのケアをしないといけなかった。でも、後半はほとんど何もせずにおったんで、そういうことも考えなあかんかなって思いましたね」