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「僕は途中からの選手じゃないから」
自信と試行錯誤を両立する大迫勇也。

posted2014/06/09 16:30

 
「僕は途中からの選手じゃないから」自信と試行錯誤を両立する大迫勇也。<Number Web> photograph by Getty Images

ザッケローニ監督からの細やかな指示を練習で聞く大迫勇也。競争が激化する1トップの中でも、ポストプレー、周囲との連係に関しては分があるか。

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寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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 6月2日のコスタリカ戦同様に逆転勝利を収めた6月6日のザンビア戦。ミックスゾーンに姿を見せた選手たちの大半は、渋い表情で、「3失点したこと」の危機感を口にしていた。

 しかしもちろん得点を決めた選手や途中出場でそれを演出した選手たちからは、多少の満足感が伝わってくる。そして、彼もまた淡々と話す口調ながら、そこに自信をのぞかせていた。大迫勇也である。

 ワールドカップメンバー発表後のキプロス戦では出番はなかったが、コスタリカ戦は先発出場。しかし交代出場した柿谷が1ゴール1アシストと結果を残し、ザンビア戦でも先発出場している。しかも、後半から柿谷に代わったのが大久保だった。

「後半から(大久保)嘉人さんが1トップで入ったので、今日はどうかなという思いもあったんですけど……。途中呼ばれたので。まあ準備はしていました」

 1トップのポジションに立った大久保が上手く生きていないと判断したのか、指揮官は後半15分、負傷していた岡崎に代えて、大迫を投入。大久保は右MFへとポジションを変えた。

「真ん中にボールが入っていなくて、全部サイドサイドになっていたので、相手も守りやすいんじゃないか、楔が入らないと厳しいかなと思っていました。(本田)圭佑さんひとりじゃなくて、僕も楔を受けて、二人で起点になれれば、またそこから展開できるから」

「縦パス、楔を入れる攻撃は僕の特長だと思う」

 相手の運動量が落ちたこともあるが、大迫のイメージ通り、日本の攻撃に変化が生まれた。縦パスを入れることで、サイド攻撃もより効果を高める。大迫が先発したコスタリカ戦でも山口、青山の縦パスを大迫が受けるシーンがたびたびあり、そこから日本の攻撃の形が生まれていた。その試合を振り返り、6月4日には次のように話している。

「監督も試合前のミーティングで、『縦パスを意識するように』と話していたので、みんながそれを意識していたと思う。楔を入れる練習もやっていたし、そうすることでサイドが空いてくるのもわかっていた。

 僕は(楔を)受けるのは得意なので、そっちのほうがやりやすいですね。監督からも『楔をもっと受けるように』と試合前に言われたし、僕個人としてはそれもデカいかな。そこが僕の特長だと思うし、起点を作って前へ行くことで、チームにいい流れができると思うから」

【次ページ】 ミュンヘンで培った、試行錯誤する能力。

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