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「僕は途中からの選手じゃないから」
自信と試行錯誤を両立する大迫勇也。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2014/06/09 16:30
ザッケローニ監督からの細やかな指示を練習で聞く大迫勇也。競争が激化する1トップの中でも、ポストプレー、周囲との連係に関しては分があるか。
「俺は途中からの選手じゃないから」
「タイプ的に言えば、僕は途中(出場)からの選手じゃないから」と言いながらも、ザンビア戦では、チームに変化をもたらした。縦横無尽に動きながら、楔のパスを受ける。そんな大迫のポストプレーによって、2列目の選手の動きが流動的になり、パスがテンポ良く回った。
「そうですね。うまくチームのなかで、自分が活きないとダメだと思う。だから、時間を作ったり、前で一回起点を作ってから、攻めていければいい。周りともいろいろと声をかけあったり、要求し合っているし、言わなくても自然に動ける部分もある。本当にあとは(ゴールを)決めるだけ。
試合をしている中で、試されている感がすごくある。今日みたいな相手で、どういう感じのプレーをするのかというのを監督は見ているはず。でも、それを気にせずに、僕らは初戦に合わせていくしかない。初戦までの間にゴール前の感覚をもっといい状態にしたい。(パスが)来たら決められるという感覚をもっと増やしたい。ゴール前の入り方や駆け引きの部分。あとはシュートを打つ時の落ち着きだったり、そういうところを詰めていきたい」
自身のストロングポイントを活かすための準備は順調に進んでいるようだが、初めての世界の舞台へ向けて、準備をしすぎるということはない。そして、準備万端整っても力が発揮できるとは限らない。
「本番じゃないですか? 本番でどれだけできるか」
さらりとそう口にする姿に頼もしさが漂っていた。