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試合の最初の15分で調子が分かる!
“ルンメニゲ式”観戦術の3ポイント。 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2014/05/12 10:30

試合の最初の15分で調子が分かる!“ルンメニゲ式”観戦術の3ポイント。<Number Web> photograph by Getty Images

現在、バイエルンの代表取締役CEOを務めるカール・ハインツ・ルンメニゲ。CL準決勝のレアル・マドリー戦後には、「今日の彼らは我々の限界を示した」と相手の強さを認める発言をした。

戦術では補えない「単騎勝負」での性能差。

1. 【守備】 FWとDFの力関係

 自分たちのセンターバックが相手アタッカーよりもスピードやパワーで明らかに劣っていたら、どんな戦術を用意しても劣勢にならざるをえない。CL準決勝でレアル・マドリーに大敗したバイエルンがまさにそうだった。

 あえて式に表せば、(ロナウド×ベイル)>(ボアテンク+ダンテ)となるだろうか。2ndレグでは局地戦における個人の力関係が、戦術を凌駕した。ロナウドだけならセンターバックは互いにカバーできただろうが、そこにベイルが加わって左右から攻められ、単騎勝負になった。バイエルンの最大の弱点はDFラインのスピード不足で、来季に向けてチェルシーのダビド・ルイスの獲得に動いているのもうなずける。

 日本のDFラインを牽引する今野泰幸と吉田麻也は意外に人に強く、単純なパワーやスピードにやられることはほとんどない。だが、過去の試合を振り返ると、ウルグアイ代表のスアレスやブラジル代表のネイマールといった急加速・急ストップを何度も繰り返す、前後の揺さぶりに長けた選手に苦戦してきた。つまりコートジボワールで言えば、ドログバやボニーのようなパワー系よりも、ジェルビーニョのような機動タイプに隙を突かれる可能性がある。

 今季ローマ対インテルの試合で、長友佑都でさえもジェルビーニョの揺さぶりに苦戦した。2人のセンターバックに対して、ジェルビーニョがどれくらい駆け引きを仕掛け、裏を狙ってくるかに注目したい。

2. 【攻撃】うまい選手がボールを触っているか

 その日の攻撃がうまく行きそうかを判断する最も簡単なバロメーターは、「うまい選手がどれくらいの頻度でボールを触っているか」だ。

 川崎フロンターレの風間八宏監督は言う。

「TVで解説の仕事を始めたとき、『チームの中で最もうまい選手がどれくらいボールを触っているかを見てください』とよく言っていました。うまい選手が触れば、それだけ攻撃のいろんな発想が表現される機会があるということ。バルセロナで言えば、メッシ、シャビ、イニエスタの3人です。彼らがボールを触れなければ、ゲームになりませんよね」

 日本代表で言えば、本田圭佑、香川真司、遠藤保仁の3人だろう。彼らにいい形でボールが届かず、DFラインから右サイドばかりボールが運ばれるようだと攻めあぐねる展開になることが予想される。

【次ページ】 W杯は観戦力を養うチャンスでもあるのだ!

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