濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
Doスポーツとしての格闘技の可能性。
再メジャー化へ向けた“百年構想”。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2014/03/14 10:40
記念撮影ではパラエストラ代表の中井祐樹やリバーサルジム新宿Me,Weの山崎剛などの姿もあり、格闘技界の横のつながりを感じさせた。
今年2月、日本格闘技界に新たな組織『D-NET(DOJO NETWORK JAPAN)』が発足した。といっても、これは“新団体旗揚げ”の類ではない。国内格闘技ジムの交流を目的とした相互連絡グループであり、ニュアンスとしてはジムの協同組合、もしくは選手会に近い。
中心メンバーは、若い世代のジム経営者たち。代表の長南亮(TRIBE TOKYO M.M.A)、副代表の勝村周一朗(リバーサルジム横浜グランドスラム)と大沢ケンジ(和術慧舟會HEARTS)はともに1976年生まれだ。ジム経営や選手の育成について「一人で考えても限界があるから、みんなで知恵を出し合ってみよう」というのが発足のきっかけだったという。
プロモーターとジムという“労使関係”ではなく、あくまで横のつながりだからしがらみも発生しない。LINEで連絡を取り合い、時間を見つけて会合を開く。「ジムの経営ノウハウを共有したり、用具や設備の業者を紹介しあったり。やれることは無限にあると思います」と長南は言う。加盟ジムを募集すると、1カ月ほどで30を超える申請があった。
「試合には縁がないと思っていた人たちが出てくれた」
そんな『D-NET』の初イベントとして、3月9日、ゴールドジム大森で開催されたのがグラップリング(組み技)トーナメントだ。初心者からプロ経験者まで、さまざまなカテゴリーと階級に分かれてのトーナメントには、約120名が参加。とりわけ目を引いたのは、ビギナーおよびプレビギナー部門の参加者が多いこと。プレビギナーとは、スタンディングではなくヒザ立ちの体勢からスタートする試合形式。関節技も禁止されており、ケガをするリスクが極端に減らされている。
大会を取り仕切った勝村は、閉会式で「ビギナー、プレビギナーの盛り上がりが何より素晴らしかった」と語った。
「これまで、試合には縁がないと思っていたような人たちがたくさん出てくれたのが嬉しいですね」とは大沢の言葉。試合に出るとなると、練習への熱の入り方も変わってくる。そのことでジムも今まで以上に活気づいたそうだ。
「これまで、ジムに週1回来るか来ないかだった会員さんが、試合が決まると週1、2回確実に来るようになった。そういうレベルでいいし、それが大事なことなんです」