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メジャーの野球が小技、守備重視に!?
新潮流で評価急上昇中の青木宣親。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byZUMA Press/AFLO

posted2014/03/10 10:40

メジャーの野球が小技、守備重視に!?新潮流で評価急上昇中の青木宣親。<Number Web> photograph by ZUMA Press/AFLO

安打の数もさることながら、出塁率でチームへの貢献を目指す青木宣親。守備範囲も広く、MLBの潮流がまさに追い風となっている。

「出塁して得点に絡んでほしい」という期待。

 ロイヤルズに移籍した青木は、1点勝負がトレンドになってきているなかで、いろいろな球団のジェネラル・マネージャーから注目を集めていた。青木がシーズンオフの早い段階でトレードが決まったのも、ロイヤルズがいかに出塁率の高い青木を必要としていたかが分かる。

「GMに初めて会った時も、『とにかく出塁して得点に絡んでいってほしい』と言われたんですよ。役割はハッキリしてますね」

 と青木も自分を高く評価してくれたチームでプレー出来ることに喜びを隠しきれない様子だった。

 実はロイヤルズの悩みどころはトップバッターに人材を欠いていたことだった。パワーのあるアレックス・ゴードンを1番に据えていたが、本来、ゴードンはクリーンアップを打たせたい選手だった。そこで青木を1番に置くことでゴードンにはおそらく5番を打たせることが可能になった。

 青木の加入はチームのケミストリーを変え、得点力を増やす期待を担っている。

『2点よりも1点』というア・リーグでは珍しいスタイル。

 私が取材したカブス戦の後、青木はこんな話をしてくれた。

「ブリュワーズ時代は、取れる時にはどんどん点を取っていこうということで、1点よりも2点、という意識でみんなプレーしてましたけど、ロイヤルズは昨シーズン、投手防御率がリーグトップだったこともあって、『2点よりも1点』という意識が強い。僕も1点にこだわってプレーしていきたいです」

 青木の長所は首脳陣の「意図」を汲んでプレー出来ること。

 指名打者制度のあるアメリカン・リーグで1点にこだわるというのは、意外ではあるが、面白い。

 戦力充実のロイヤルズで、青木の役割がどんな影響を与えるのかいまから楽しみである。

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青木宣親
カンザスシティ・ロイヤルズ

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